デイサービスは今長時間サービスと短時間サービスの二極化が進んでいます。長期化の傾向はお泊りデイサービスの増加によって説明されます。
ご利用者様のご家族への介護負担は年々問題となっており、介護離職ゼロの標語が注目されるほどになってきました。施設に入れられない高齢者のお預かりとしての需要は高まっています。
また、デイサービスに来所する目的の明確化が進んで短時間のみで部分的なリハビリを受けたり、入浴を済ませて帰りたいという需要も大きくなっており、短時間デイサービスは1日デイサービスを上回る勢いでどんどん増えている状況です。
ここでは、デイサービスの開業をお考えの方のために1日デイサービスと短時間デイサービスを収益の面から比較することによって開業の参考にしていただければと思い論じてみたいと思います。
目次
売上比較
そもそも半日デイサービスと1日デイサービスの違いは提供時間と食事の有無にあります。半日デイサービスは基本的に「3~5時間」提供のみでサービスを行っており、午前と午後に分かれているため昼食は出しません。
また、1日デイサービスは「5~7時間」と「7~9時間」の2つの提供時間が存在していますがどちらにしろ昼食を挟むことになります。
この時間の違いは売上額を左右するので売上を比較する際に「5~7時間」提供なのか「7~9時間」提供なのかは重要な条件となります。
ここでは「5~7時間」利用の方が50%「7~9時間」利用の方が50%と定義して話を勧めていきたいと思います。
条件は所在は東京23区、平均介護度2、提供体制加算(18単位)、処遇改善加算(5.9%)おやつ(200円)ありとします。
稼働率は欠席数などを考えて80%とします。
半日デイサービス(入浴加算あり・おやつのみ)
「3~5時間」の1人あたりの単価:
(488単位+50単位+31単位)×10.9 = 6,210円+200円(おやつ代)=6,410円
6,410円×20人×30日=3,846,000円となります。
そこに稼働率をかけると3,076,800円となります。
半日にデイサービスの見込み売上は310万円程度となります。
1日デイサービス(入浴加算・機能訓練加算・食事おやつ有り)
「5~7時間」の1人あたりの単価:
(757単位+50単位+46単位+50単位)×10.9 =9,842円+600円(食事おやつ代)=10,442円
「7~9時間」の1人あたりの単価:
(868単位+50単位+46単位+54単位)×10.9 =11,127円+600円(食事おやつ代)=11,727円
「5~7時間」と「7~9時間」の平均は10,784円となります。
10,478円×10名×30日=3,235,432円となります。
ここにご利用者様の欠席率などをかみして80%の稼働率をかけると2,588,345円となります。
1日デイサービスの売上はうまく言った場合で260万円程度ということになります。
支出の比較
売上の比較から50万円もの差が出ることがわかりましたが、支出の方はどうなるでしょうか。
正直半日デイサービスと1日デイサービスにそれほど差はありません。1日デイサービスは調理スタッフが必要になりますが、昼間の送迎ドライバーは必要ありません。逆に半日デイサービスは昼間にも送迎ドライバーが必要になりますが、調理のスタッフは必要ありません。
あえて言うなら1日デイサービスの食材費が余計にかかっているくらいでしょうか。
初期投資の違い
売上で50万円もの差が開いて、支出ではほとんど差がないのであれば半日デイサービスを選ばない手はないように思うでしょう。
しかし、半日デイサービスにも少々弱点が有ります。それは半日デイサービスは専門性(リハビリ特化や入浴特化)が求められるためスタッフのレベルをたもたなければならないことと、専用の設備が必要になってしまうところです。
リハビリ特化型デイサービスであれば専用のトレーニングマシンやウォーターベッドなどの器具が必要になりますし、入浴特化型デイサービスであれば、機械式浴槽などが必要になり、初期費用がかさんでしまいます。
半日デイサービスか1日デイサービスか
結局どちらの提供時間での開業が良いかと聞かれた場合は私は半日デイサービスをおすすめしています。
それは今後団塊の世代が介護を受けるようになったときには、必ず専門的な強みがあるデイサービスが選ばれるであることと、彼らは自分の時間の使い方を知っているため長時間束縛されるのを好まないであろうという理由からです。
私の運営する『日帰り温泉型デイサービスはつね』は半日の入浴特化型デイサービスですが、既に70台中盤くらいの男性のご利用者様は短い時間で大きなお風呂に入れるところが良いところだと私の施設を選んでくれる方が大勢いらっしゃいます。
皆様もデイサービスを開業される際は半日で専門的なサービスが受けられるデイサービスを意識してはいかがでしょうか。