これまで様々な困難なケースのご利用者様と対処方法をご紹介してきましたが、今回はある生活保護を受給していた女性の方のケースです。
今回のケースは他に例がなく、かなり困惑したのを今でも鮮明に覚えています。
生活保護費の不正受給
※個人や状況に関しては一部事実とは異なる部分があります。
そのご利用者様は普段から質素に暮らしており、洋服も穴の空いた物でも気にせずに着ていたり、リハビリパンツを汚れても再利用し用とするような方でした。性格はわがままで感情の起伏が激しく、理不尽なクレームが多かったのです。
今思い返してみると好きな演歌歌手のCDやポスター、写真集のようなものが妙に揃っていたので、それにのみお金を使っているのかなと思っていました。
その方のお迎えではお宅に上がって持ちのもの用意や立ち上がりの援助などを行っていました。部屋は6畳程度の1ルームで
持ち物と言ってものタオルと着替えくらいでしたのでタンスを漁ることはありましたが、押し入れや家具などには触ったことはありませんでした。
通帳発見
ある日送迎担当者から電話が入りました。普段は事務所の電話にかけてくるのに私個人の携帯電話にかかってきたのでどうしたのかなと思って電話に出ると「Aさんのお宅ですごいものを発見しちゃいました。」「え、なに?嫌なもの?」「嫌なものです。預金通帳です。Aさん生活保護受けてマウスよね?」「そうだけど・・・」「1,000万円も入ってる預金通帳です。たまたま着替え探すためにタンスの奥を探ってたら落ちてきて見ちゃったんです」
幸いというか本人には職員が通帳を見てしまったことはバレていませんでした。
生活保護費の不正受給の発覚・・・私にとってもの初めてケースでしたので、当初頭が真っ白になりました。逮捕なんてことがあったら90近いご利用者の体力が持つのか?とか、どこに報告するべきなのか等、色々と考えてしまいました。
すぐに落ち着きを取り戻して、ケアマネジャーにその旨を伝えて処理をお願いしました。ケアマネさんはベテランで懇意にしてもらっていたので安心して任せられました。
ひとまず、今まで通りご利用していただいてほしいとのことでしたので、何事もなく通常通りご利用いただいていました。
1週間経って
それから1週間が経った頃、生活保護課の職員が乗り込むという連絡があり、その日はデイサービスをお休みになられました。
結論から言うと、生活保護は打ち切られそれまでもらっていた保護費をは通帳からひかれることなりました。
当然本人はかなりごねたそうです。通帳は娘名義になっていたそうです。こういうような時を想定して保険をかけていたのでしょうが、娘が入金や出金した記録もないため本人のものだと認定されたようです。「これは息子のものだ」「持っていくな」などと引き下がらなかったそうですが、最後はおとなしく諦めたとのことでした。
事例は悪質でしたが、本人も最終的には罪を認めお金を返納したので刑事事件にはしないということでした。
今も元気にご利用
翌日にお迎えに行くと相当落ち込んでいました。話しかけても上の空でぼけーっと過ごしていました。
そんな感じが2週間ほど過ぎると、開き直ったのか、忘れたのか(多少の認知症有り)急に元気になって今までのようにわがままを言い始めました。
正直、90を超えた方がお金を持っていても使いみちは限られていたでしょうし、息子も独立してしっかりとやっている方だったので特に必要なお金ではなかったかもしれません。
あれから3年ほどが経ちましたが、お金のことは忘れてしまったのか暗い顔をすることもなくなりました。なんか毒が抜けたように性格も温和になった気さえします。
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