デイサービスは施設系サービスと比べると比較的介護度の低い方がご利用されますので、中には井戸端会議を目的にされているご婦人方もいらっしゃいます。
ご利用者様どおしで盛り上がってくれるのであればそれほど楽なことはありませんが、話すリズムが違ったり、耳の遠い方がいたり、認知症を患っていたりとなかなかご利用者様どおしだけではコミュニケーションが取れないことも多いでしょう。
そんな時は職員が話し相手になってあげたり、間に入ってうまく場を盛り上げて上げたりすることができればご利用者様も定着してくださるでしょう。
しかしこれがまた難しいのです。50も60も歳の違った方が喜ぶようなことを言って盛り上げることは至難の業ではありません。
現場で働いている方もご利用者様と話すのは苦手だとか苦労されている方は多いのではないでしょうか。
今回はそんな方に私がご利用者様と仲良くおしゃべりができるようになった秘訣についてお話していきたいと思います。
目次
コミュニケーションの先生は綾小路きみまろさん
私は祖母としか高齢者とコミュニケーションを取った経験がなかったので、高齢の方とどんな話をすればいいのかわかりませんでした。
コミュニケーションを取るための見本となる人はと思い、ユーチューブをあさっていと綾小路きみまろさんの動画があり、つい見始めたらそれに見入ってしまったのです。
みなさんも当然御存知でしょうが、綾小路きみまろさんは毒舌のトークショーで2002年にブレイクしました。その軽快な話術と毒舌で人気をはくし、特に高齢者に大人気になりました。公演は未だにほぼ満席でチケットの取りにくいアーティストの一人となりました。
私もひきつけ、高齢者にも受けている彼には何か特別な秘密があるのではと思い、動画を何本も繰り返し見ました。
そこには高齢者を引きつける要素が沢山詰まっていたのです。
高齢者の自虐ギャグ
私がデイサービスに勤務し始めた頃、高齢者とコミュニケーションを取っていてとても困ったのが、自虐的な冗談を言われた時の反応でした。
例えば「私なんて家族皆死んでもらいたいと思われてるんだから」とか「早く死にたいなぁ」などといった慣れてないとなんと返せばいいのやらと言うような話です。
こういったことを言われると当時の私は慌てて、「そんなことないよ、まだまだ楽しいこともあるし頑張ろうよ」なんて必死にフォローすると「そんなものかねぇ」と言うような微妙な雰囲気になってしまいました。
高齢者はそんな応えを期待しているわけではありません。
綾小路きみまろの分析
綾小路きみまろさんの話術を分析してみると色々と
彼の漫談のオチは基本的に3つのパターンがあることがわかります。
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褒めてからけなす
これがとても多いパターンです。
「奥様の昔の写真を見せてもらったらとても色白だったんで、美しかったんですねって伝えたんです」
「そうしたら白黒写真だったんです」
若い頃を褒めて、現状をけなすと言ったネタが多いのもこのパターンです。 -
わかりやすいネタ
「歯がない、けがない、先がない」「歯は抜ける、毛が抜ける、抜けないのは疲れだけ」
などのように簡単な言葉とテンポの良い喋り方をされます。
また、ネタをどの時点から見てもすぐに話の内容をつかむことができるのもいいところです。 -
自分の自虐ネタも取り入れる
きみまろさんのいいところは、必ず自分自身の自虐ギャグを取り入れるところです。
散々に毒舌を振りまいた後に自分がかつらを被っていることをネタにしたり、自分の容姿のコンプレックスを語ったりします。
それはそうですよね、相手をけなしまくっていてはそのうち腹を立てる方がいてもおかしくありませんが、自分のコンプレックスもネタにしてしまえばお互いに笑い合える関係になります。
ご利用者様と話すときのポイント
これらを参考にご利用者様とお話するときのポイントを見ていきましょう。
少しくらいの毒舌がちょうどいい
高齢者が望んでいるのは月並みな慰めや励ましなんかではありません。
励まされたからといって現状が変わるわけでないことはわかっています。
少しくらい刺激的なことを言われたほうが皆さん喜ばれます。
私は「そのくらい自分で歩かないと芋虫になっちゃうよ」など機能訓練などにつながるような檄を飛ばすように意識しています。
気をつけなければならないのは、毒舌に怒ってしまう方もいらっしゃるということです。
人を見て判断しなければなりません。
みんなが知っていて話に入れる話題
高齢者といえども70代から100歳超えまで年齢も違いますし、性別や趣味も違います。そんな方々がみんなで入れる話題を提供してあげてください。
私はワイドショーを見せながらみんなに感想を聞いて周っています。これをすれば個々の物事の考え方や興味についても知ることができるので有効な方法です。
自分の弱点もさらけ出す
ご利用者様は多かれ少なかれお世話になってばかりで後ろめたい気持ちを持たれている方が多いです。
介護あるあるですが、ご利用者様の中には介護職員に対して「先生」と呼ばれるような方も多いのもその現れでしょう。
そんな方々には私達も大した人間ではないんだよ。と言うように自分の弱点や困ってることをさらけ出してみてください。そうすればより深い話ができるかもしれません。
自分の人生も相手にさらけ出すことで心を開いてくれることもあります。もちろんプライベートを全て晒せと言っているわけではないです。
「このお腹見てよ、なかなかダイエットできなくて」とか「なかなか彼女できなくてさ、どうしたら持てるかな?」などと話しかけて見てください。
そうすれば、ご利用者様全体を巻き込んで楽しい話が始まるかもしれません。
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