前回のデイサービスに寄せられるクレームの基本と初期対応では東京都の公的窓口に寄せられているクレームの数や種類についてまとめました。
今回は事業所に直接クレームが来た場合を想定して、クレームを受けた職員の対応から事業所ないで処理を行い指定権限者に対する報告を行うまでを見ていきたいと思います。
クレームの初期対応
デイサービスにおいてご利用者様からクレームが来るルートは、ご利用者様やご家族から直接電話が来る場合とケアマネを通して行われるルートが想定されます。ご利用者様やご家族が来所して直接クレームを行う可能性はとても低いです。
また、ご利用者様が不満を抱えて通常通り通われていてもケアマネや家族を通して不満を表明されるというケースもありますので、注意が必要です。
電話でも来所でもクレームの責任者は管理者です。
しかし、上記のようにクレームが発生した際に最初に対応するのは現場の職員になりますのでマニュアルの作成や研修などを行い、急な場合でも対応できるように準備をしておくべきです。
クレームが発生したら
現場でクレームが発生したらまずは親身に謝罪することでご利用者様の気持ちを落ち着け、時間をかけてクレームの内容を確認することが大切です。
どのような内容であれ、当事者は興奮状態にある可能性が高いです。
そのまま否定をしたりないがしろにされていると感じさせてしまっては、しっかりとクレームの内容を確認することが出来なかったり、丸く収まるものも収まりがつかなくなってしまいます。
相手の話を親身になって聞いた上で謝罪されると大概の方は気持ちがスッキリされます。
クレームの内容については下記について確認します。
初期対応時にはご利用者様がおっしゃる内容をそのまま記録しましょう。その場で原因となった職員を同席させたり、事実認定を行うのは避けましょう。
相手がどのように思っているのかそのままの記録で構いません。
記録は必ず紙や電子データで残しておきます。
- 誰が何に対して不満があるのかの確認
- 不満が発生する事故や事件があったのなら人物と原因の時系列を確認
- どのような感情なのか、どのようにしてほしいのか
内容を確認したら、後日管理者から対応の連絡をさせると伝えてその場は終わります。
もし「今後気をつけてくれればその必要はないよ」と言わせることができれば対応した職員はとても優秀であるということになります。
事実確認
ご利用者様を冷静にして内容を確認できたらクレーム対応の大半は終わったと言っていいでしょう。
ここからは管理者をトップに据えた再発防止委員会などの組織で対応します。私の事業所では私と管理者と職員の中から1名を選んで3名で委員会を組織しています。小さい事業所の場合は管理者のみでも構いません。
聴取した内容に沿って、当事者に事実確認を行います。支払いの問題に関しては請求書や領収書、通帳の取引記録を確認します。
事実については話が食い違う可能性がありますのでその場にいた職員などからも話を聞く必要があります。
事実について確認ができたら、会議を開き当方に非があるのかないのか、差初防止策のために業務手順を変える必要があるのかを話し合います。
何か損害が発生している場合はその賠償方法や金額についても決める必要があります。
業務手順の変更についてもその場で手順を決めてマニュアルの変更を行います。
ご利用者様への説明
ご利用者様への対応は基本的に管理者がお宅へ訪問して行いましょう。
丁寧に調査内容について、再発防止策について、賠償について説明しましょう。
賠償については、賠償の必要ないと言われることや賠償金額に納得されない可能性があります。
その場合は「基本的に申し上げた内容で賠償したい」と申し上げつつ会社に持ち帰るようにしましょう。
賠償については保険も絡んでくるなどとても困難なケースも多く聞かれます。長引かせるのが最善策でない場合は相手の希望にそって賠償を行っても良いかもしれません。
指定権限者への報告
介護事業所はクレームが有った場合、指定権限者への報告が必要になります。指定権限者よっては提出する書式やタイミングについて取り決めがある場合がありますので、都道府県や市区町村のHPなどで確認しておきましょう。
ここで作られた報告書や会議で話し合われた議事録などはファイルに残しておき、全ての職員が参照できるようにクレーム処理ファイルとして残しておきましょう。
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