言語聴覚療法とは言語機能、聴覚機能、摂食・嚥下機能など、主としてコミュニケーション機能に障害のある人に対して、機能の回復や維持のための指導や訓練を行うことです。
コミュニケーションや食事は生活の質を向上させる大きな動機になります。また、逆にこれらの機能を失うと高齢者の意欲は著しく低下する可能性があります。
人間らしく暮らしていくためにデイサービスにいらっしゃる方でも脳卒中や高次脳機能障害などを理由に言語機能に困難を抱えている方は多いと思います。しかし、運動機能のためのリハビリはあれども言語機能のリハビリに関してはほとんど見られません。
それは、言語聴覚に関する専門家は少なく専門的なリハビリを行うことができる資格者、言語聴覚士の資格者も圧倒的に足りていないため、デイサービスの現場に知識がおりてきていないことが関係していると思います。
今回は言語聴覚障害の基本について記述しています。
言語聴覚士がいなくてもできることもありますので、ご利用者様のリハビリにつなげていただけたらと思います。
目次
言語聴覚障害の種類
嚥下障害
摂食嚥下とは、食べ物を食べ物として認識し、口に入れて咀嚼し、飲み込み、胃に取り入れるまでの一連の行程を指しています。その摂食嚥下に障害があり、噛めない、飲み込めない、誤嚥してしまうなどの症状が出てしまいます。
嚥下障害のリハビリは刻まれたりペースト化された食材を実際食べる方法と口腔マッサージや嚥下体操などの食材を使わないものがあります。
嚥下体操
口の周りだけでなく、肩、腕、首などもストレッチします。
口腔マッサージ
顎二腹筋や唾液腺のマッサージを行います。
摂食訓練
嚥下機能に合わせた食材を使ってゆっくり噛んだり飲み込んだりを繰り返させます。
失語症
大脳の言語領域の損傷により、話す・聞く・読む・書くことが難しくなります。
脳の損傷部位によって症状の表れ方が異なり、話すことがうまくできなくなったり、なめらかに話せるものの、発話量のわりに内容が伝わらなかったりします。
「テレビ」と言いたいのに「つくえ」と言ってしまったりします。
失語症のリハビリ
単語をうまくつなげて言えない場合、単語を位置文字ずつ分割して発声練習します。
「お」「に」「ぎ」「り」というように1文字ずつ言えるようになったら「おにぎり」とつなげて入れるように練習します。
単語の言い間違は「意味」と「言葉」をつなげる能力の欠如から生まれます。
有効なリハビリは様々な絵の書いてあるカードを用意して、示したカードが何なのかを発生させます。また、これが難しいようなら反対にこちらが発生した単語に見合うカードを選んでもらいます。
構音障害(声、発音)障害
発声発語器官(舌・口唇など)の運動が傷害され、声や発語の異常が起こり、話し言葉が不明瞭となります。聞いて理解する、読み書きは問題ないところが失語症と異なるところです。
構音障害のリハビリは筋力、呼吸、発生、共鳴にわけられます。
筋力:口の開閉、舌の円運動、頬の上げ下げなど、口周りの筋肉を動かします。手を添えて行っても構いません。
呼吸:胸を張ってゆっくりと深呼吸します。すった空気を出来る限り胸にとどめておきゆっくり吐かせます。
共鳴:鼻を鳴らす練習です。鼻の息を吐きながらう~と鳴らしてもらいます。
発声:短い単語でも構いませんので、大きさや長さを指示しながら発生します。大きな声でゆっくりと「テレビ」と言わせてみましょう。
口腔ケア
高齢者の場合、口の中の細菌が誤嚥によって肺に入ることによって誤嚥性肺炎が起こります。誤嚥性肺炎は高齢者の死因のトップ3に入る恐ろしい病気です。
口腔ケアは口腔内の清掃と口腔機能の維持の2つ分けられます。
①口腔内の清掃
歯ブラシは歯茎に触れても痛くない程度の力で磨きましょう。
特に下記の部分は磨き忘れがあるので中止してください。
歯と歯の間
奥歯の裏
奥歯のかみ合わせ
②口腔ケア介助
認知症の方などは手をかんでしまう可能性があるので手袋を着用します。
歯ブラシは頻繁に水で濯いできれいな歯ブラシで磨けるようにします。
まだ、口腔内の粘膜をウェットティッシュなどで拭き取りながら歯ブラシします。
③入れ歯のケア
入れ歯は形が複雑でぬめりや汚れが強いので入れ歯用のブラシを使用します。
まずは食べかすや粘膜を水を流しながら落とします。その後いれば専用ブラシでゴシゴシ磨きます。歯磨き粉は入れ歯を傷つけてしまうので使用しません。
洗浄剤を水で溶かして入れ歯をつけておきます。
洗浄剤から出して再度入れ歯用ブラシで念入りに磨きます。
【デイサービスの基本業務はこちらから】