入浴中の事故が多いことは皆さんもご存じではあるかもしれませんが、入浴中の事故による死亡事故が毎年2万人近くも出ていることはご存知でしたでしょうか。
もう一度言いますが、入浴中の死亡事故は毎年2万人近く出ています。
交通事故による死亡者をはるかに上回り、2017年の自殺者数が2万1千人ですから、それと同等の数字になっています。
全国での医師法に規定された異状死の数が20万件くらいですので、そのうちの10%以上が入浴を起因とするものだと考えるとその危険性が際立つかもしれません。
また、年齢別にみてみると65歳以上の方の死亡事故が全体の80%で、75歳以上の方の死亡事故も74%と高齢者が圧倒的に多いです。
死因に関してはそのほとんどが血圧の激しい上下によるものです。
暖かい浴室に入りシャワーを浴びる体が温まると血圧が急上昇します。
血圧が上がると脳梗塞や心筋梗塞などを起こしてしまいます。
一方、暖かい湯船につかり続けると血流が良くなり、急に血圧が下がりだします。
この急激な下降に耐えきれずに意識を失ってしまい、溺死するケースも非常に多いのです。
※出店 消費者庁 News Release 平成28年1月20日
また、死亡事故がこれだけあるのですから、死亡には至らないが障害が残ってしまうケースも大量にあることが想像されます。
お風呂場は滑りやすくタイルも堅いですし、でっぱりになる障害物もとても多いですから転倒などによるけがもとても多いです。
実は銭湯や温泉旅館での事故も多い
2万人の入浴に起因する死亡事故のうち、5千件ほどが自宅での入浴中に起こる事故で、残りの1万5千件が銭湯や温泉旅館などで起こる事故というデータも出ています。
当然これも高齢者がほとんどでしょうから、高齢者が一人で出かけて銭湯で倒れてしまい、発見や通報が遅くなって死亡に至ってしまったという筋書きが容易に想像できます。
少し前に相撲部屋の親方が銭湯(サウナ)の後に自転車をこいでいる最中に倒れてしまったという事故がありましたが、まさにこれがそのパターン(年齢は若いですが)なのでしょう。
私の『日帰り温泉型デイサービスはつね』にご来所される方の中にも麻痺を持ちながらも銭湯に通っていたため足を滑らせて
もっと注意喚起を!入浴はデイサービスで!
これだけ多くの犠牲者を出している入浴中の事故に関しての報道や啓蒙活動が不十分すぎると思っています。
今回の記事を書くにあたりインターネット上の様々な情報について調べてみましたが、まずトップに出てくるのが上記にある消費者庁による注意喚起のPDFファイルです。
なぜ、消費者庁?という疑問がわいてきます。まあ、消費者に変わりはないのでしょうが・・・
内容に関しても上記のような基礎データと入浴時のちょっとした注意喚起程度しか書かれていません。
入浴に危険性、安全なお風呂の入り方、安全な手すりのつけ方や床材の選び方などのお風呂の作り方、死因とそのメカニズムなど周知するべきことはごまんとあるはずです。
厚生労働省なりがお金をかけて、特設のページを作ってもいいでしょう。
動画や画像を使って高齢者にも理解のしやすくしてほしいです。
高齢者のほとんどが入浴を甘く見ています。昔からの名残のせいか、「湯船は熱くして長湯をするほうが健康にいいんだ」などと本気で思っている方もとても多いことに驚きます。
上記で書いたように銭湯や温泉施設での死亡事故もとても多いこともほとんど知らせれていません。
別に宣伝をしたいからこの記事を書いているわけではありませんが、入浴こそデイサービスを使うべきだと強く主張したいです。