実は昨年、障害者福祉サービスの生活介護の指定を受けていましたので、その件について書いていきます。
指定を受ける直前にわかったのですが、共生型サービスの指定を受けたのは東京23区では初であったそうです。
デイサービス(介護保険サービス)が障害福祉サービスの指定を同時に受けることができるようになったことは耳にしていましたが、まさか私が指定を申請することになるとは思いませんでした。
チャレンジを決意した日
ことのきっかけは『日帰り温泉型デイサービスはつね』立石店に通っていらした利用者(Aさんとする)が介護保険の認定外になると報告を受けたことからでした。
Aさんは50代の女性で、生まれつきの脳性麻痺をお持ちでした。
40歳までは障害福祉サービスも受けていましたが、40歳を超えてからは2号保険者として介護サービスを受けていました。
しかし、極度の病院嫌いで全く通院していなかった事もあってか、主治医の判断により16大疾病の診断を外されてしまいました。
そこで2号保険者として介護サービスが使えなくなってしまうという問題が生じたのでした。
介護保険課や介護事業者は通院することでちゃんと診断してもらうように諭すのですが、なかなか首を縦に振りません。言い出したら聞かない方です。
仕方なく介護サービスを受けるのは諦めうちのサービスも中止という話になりました。
しかし中止から1ヶ月ほどたった頃Aさんから電話がありました。
「障害福祉サービスで入れるお風呂が嫌でしかたない。どうにかして戻れないか」と言う内容でした。
そしてすぐに障害福祉課からもどうしてもお風呂に入ってくれず、2週間が過ぎてしまったと言うのです。
このままでは皮膚病や感染症のリスクがでてしまいます。
自業自得ではあるものの、入浴に困っている人がいるとなんとかしたくなる性分です。
かねてから気になっていた共生サービスにチャレンジしようと決意したのでした。
東京都との折衝
最初気軽な気持ちで東京都の障害福祉課に連絡したのを覚えています。
ちょうど私が平日に休みが取れていた時期でしたので、すぐさま都庁に出向きました。
利用者はすぐにでもお風呂に入りたい状態ですから、最短での指定を受けたい旨を伝えると何分、初めてのことなので1ヶ月余裕を持っての申請を促されました。
しかし、このままではAさんは2ヶ月間入浴しないことになります。そういうわけには行きません。
なんとか書類を揃えることを近い、審査をしてもらう事になりました。
申請書類に関しては介護の申請書類とそれほど違いはありませんでしたが、2点ほど苦労しました。
医療機関との提携
ただ、医療機関と提携が必要で『何かがあった場合には相談できる』体制が整った医療機関と提携契約を締結しないといけませんでした。
これがとても苦労しました。
これと行ったつてのない中、医療機関にとってメリットの見当たらない提携を行わねばならないからです。
申請の期限ギリギリまで提携先が見つかりませんでしたが、最後は逆転の発送でAさんが元々通っていた病院を訪問し、主治医の責任として提携を結んでほしいと依頼しました。
先生直々に会ってもらい懇願したこともあってか、無事提携を引き受けて暮れました。
障害福祉サービスの知見
介護保険の指定申請にないのが、この障害サービスへの知見を深める活動でした。障害福祉は特殊な世界なので様々な施設を見学したり、研修に参加するなどしてレポートにすることを求められました。
3店舗の事業所を見ながら、事あるごとに呼び出され都庁に出向きながら時間を作るのは大変でした。
ここは障害福祉課と介護保険課にも手伝っていただき、区の障害施設に見学できるように手配してもらったり、介護保険課の定期研修に障害福祉サービスについての研修を段どってもらいました。
区の協力も会って申請日までにレポートをまとめることもできました。
共生型サービスの指定を受けて
なんとか指定申請書を期日までに提出することができ、無事指定を受けることができました。
当初、Aさんのためだけに取った共生型サービスの指定でしたので、営業活動などはまるでしませんでした。
というのも、介護保険だけで十分に利用者を獲得できていたからです。
ただ、指定を取ってから半年ほどで障害福祉課から連絡が来るようになりました。
Aさん以外でも入浴に困っている障害者の方がいらっしゃると言うのです。
どこからかうちの噂を聞きつけて希望されたというのです。
実はこれは予想していました。
区の障害福祉サービス施設を見学した際にこんな場所で入浴をさせるのはかわいそうだなと思ったからです。
機械浴もなく、狭い入浴場でお風呂に入れられていたのです。
それからもちょくちょく障害者の方の問い合わせが続いています。
どうしてもうちでなければ入浴が難しい方のみを受け入れています。
今後の共生型サービス
共生型サービスができた理由は、『障害者が65歳を超えても昔から利用していたサービスを受け続けることができるため』だといいます。
私は結果的にそうはならないと思っています。というのも正直介護サービスのほうが障害福祉サービスよりも先に進んでいるからです。
特に生活援助は将来的に介護サービスが障害サービスに取って代わるんではないかと思っています。
障害者は身体、精神、知的に分けられますが、介護においても麻痺や認知症対応などを考えればそれほど変わらないように思われます。
実際にはつね立石店も障害者の入浴をそつなくこなすことができています。
特に入浴需要を持つ障害者は多いのではないかと思っています。
実は2020年4月にオープンした西新井店では8月くらいには共生型サービスの指定を取ろうと考えています。
定員も今まで以上に大きいですし、多くの障害者の方に利用していただけるのではないかと期待しています。
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