介護事業の開業には法人の設立が必須条件となります。
介護保険法において介護給付費を受け取るには法人であることが要件になっているからです。
法人といえば基本的に株式会社をイメージする方が多いと思いますし、基本的に株式会社で起業されることをおすすめします。
その他に介護事業所でよく使われる法人格は合同会社とNPO法人です。
ただし、NPO法人に関しては自治体による審査があったり、社員を10名以上にすることなどいろいろな制約がかかることから小規模事業所の起業には向いていないので、今回は株式会社と合同会社のみを比較していきます。
目次
株式会社のメリット
有限責任である ※
古くから使われているので馴染みが深い。
安心感がある。
株式公開が可能である。
議決権がはっきりしており、内紛の際などには強い
※有限責任とは
有限責任とは会社が倒産した際も、出資分のみの損失で済むということです。合名会社や合資会社が有限責任にあたります。
逆に無限責任だと会社の負債を全て返済する責任が生まれてしまいます。
しかし、中小企業の社長は借り入れの際に連帯保証を取られることが多く、結局は無限責任を背負わされていることと同じであるとの指摘がされています。
株式会社のデメリット
設立にお金がかかる(25万円程度)
株主や取締役が増えると意思決定に時間がかかる
合同会社のメリット
有限責任である
決算書の作成義務がない
設立費用が安い
株主がいないので意思決定が早い
利益配分が自由に行える
合同会社のデメリット
馴染みがないため、拒否感がある方もいる
議決権が無いため内紛が起こると意思決定が滞る
議決権について
議決権(意思決定機関)については少し難しいので下記で詳しく説明します。
意思決定機関とは最終的に会社の方針を決める会議となります。
株式会社においては株主が集まって行われる株主総会が意思決定機関となります。
株主総会でしか決めることができない案件は役員の選任や解任、合併や事業譲渡など会社の根幹に関わる事項は全て株主総会で決まります。
株主総会を開くには開催される2週間前には招集通知を出さなければならなかったり開催場所もある程度限定されてしまうなど準備することがたくさんあります。
一方合同会社の最高意思決定機関は社員総会となります。
ここで言う社員とは出資を伴った社員で、単なる従業員とは異なります。
社員の過半数の賛成のみですべての項目について決めることができます。
また定款に記載することによって全員一致のみで議決されると変更することもできます。
株式会社は
意思決定機関の運営方法が事細かく決められているため、意思決定に非常に時間がかかりますが、どれだけ考えの違う株主がいても、どれだけいがみ合っていても、 最終的に意思決定を行う事のできる仕組みが整っています。
合同会社は
意思決定のスピード感はとても早いですが、いざ社員間で問題が発生した際にはそれを解決するためのスキームが不十分です。
また、利益の配分について揉める可能性がある仕組みになっていることもリスクといえます。
一人で始めるなら合同会社
ここまで株式会社と合同会社について論じてきましたが、あなた一人で開業する場合はっきり言ってどちらでも変わりはありません。
ご両親や配偶者などのご家族と始める場合でも同じです。
合同会社であろうが株式会社であろうがご利用者様やケアマネが意識するのは屋号の方です。
法人名なんて知らない方が大半でしょう。
そういうことから、特に意思決定機関の設置に条件がない方は費用の安い合同会社が良いのではないかと思います。
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