デイサービスを経営されていたり管理者を担っている皆様でしたら実地指導を受けた事がありますでしょうか。
介護保険サービス事業者に対して行われる実地指導は、都道府県や市区町村の担当者が事業所へ訪問し、適切な運営がなされているかを調査するためのものです。
基本的に最初の実地指導は開業から2年以内に行われ、その後は5年おきに行われます。
実地指導は指導の一つであり、指導には別に集団指導があります。
集団指導は制度変更などの周知や実地指導で把握された注意点の喚起などを目的としています。
私も7件のデイサービスの管理を行って来ましたが、まだ3度しか経験していません。
私のデイサービスのある役所の担当者に聞いてみたところデイサービスに関しては急激な増加について行けず実地指導は大幅に遅れているそうです。
実地指導を行うには2ヶ月程度の準備を期間がかかり、多くても月1件程度しか行うことができないということでした。
また、よく監査と実地指導を混同されている方がいらっしゃいますが性質がまるで違います。
監査は事故が多かったりご利用者様からのクレームが多いなどの問題が表面化した事業所や介護給付費の請求に関して嫌疑がある事業所に対して行われるものです。監査によって違反などが見つかった場合は改善の勧告や命令が行われ、それでも下がなかった場合は指定の取り消しなどの処分が下される場合もあります。
今回は実地指導の手順や返戻を出さないための準備について私の経験に基づいてお話していきたいと思います。
実地指導の準備
実地指導は実施日の1ヶ月程度前に役所から連絡があります。
その際に実地指導の実施日や必要な書類などが伝えられます。必要書類については出来る限り具体的に聞いてください。必要な期間についても言及があるはずですのでしっかり確認しておきましょう。
指導の内容
実地指導は運営指導と報酬請求指導に分けられます。
運営指導は要介護者が尊厳ある生活を送るために、デイサービスとして適切な目標を立て、そのための計画が適切に立てられているかが見られます。
報酬請求指導は請求の加算や算定基準に適した体制の確保が行われているか、を調査し、算定基準に足りていない場合は返戻などの処分がくだされます。
特に注意するべきは報酬請求指導の方です。運営指導は違反が見つかったとしても改善を行い正しく報告を行えばなんの実害もありません。しかし、報酬請求指導の場合は今後の加算などの取得に関わってくるものです。
しかもこれまでの分の加算が返戻扱いとなってしまった場合は多額の返戻が発生してしまい経営を圧迫する可能性もあります。
必要な書類
必要書類に関しては口頭での説明がありますが、概ね下記の中から指定されます。日頃からしっかりと作成しておき、監査になってから大慌てで揃えるなんて言うことはないようにします。
- 職員の勤務に関する書類
運営に足りる資格を持った職員が法定通りに配置されているかの確認 - ご利用者様の必要資料
契約書や計画書などサービスするために必要な書類の確認 - サービスの記録
業務日誌や送迎表などの日々のサービスの関する書類です。 - 介護給付費請求に関する書類
国保連への介護給付費の請求に関する資料です。
指導当日
指導当日は3,4名程度でやってきます。時間は丸一日掛かると考えてください。相談室などを使って書類の調査を行います。
基本的に管理者が対応しますが、必要な書類を全てお渡しし、追加で必要な書類があれば指示されます。常に傍らにいる必要はなく、普段の仕事をしていても構わないです。送迎に行く場合は告げてから行くようにしましょう。
一通り調査が終わると指導の内容が伝えられます。改善報告をするべき項目に関してはその場で口頭で伝えられた後に後日書面も発行されます。
改善事項は改善報告書として全ての改善が終わるまで役所の担当者とやり取りが行われます。
実地指導にはテーマがある
実地指導は1日しか時間のないため、デイサービスに関する全ての資料を調査することはできません。私が経験した中で感じたことは指導のメンバーは事前にある程度指摘するべき項目を決めておいてその裏付けに時間をかけているということでした。
私が始めて実地指導を受けた時は個別機能訓練加算Ⅱが始まったばかりでした。そして実地指導ではこの個別機能訓練加算Ⅱに関わる資料ばかりを持ってくるように指摘され、最終的には個別機能訓練加算Ⅱを取得していた方の20%ほどの方の加算が返戻となってしまいました。
おそらくこのように直近の法制度の変更や事業所の特徴などによって実地指導にはテーマが決められており、これにそって指導が行われるのでしょう。そのテーマを事前に察知することができれば実地指導をうまくこなすことができるでしょう。
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