最近セクハラという言葉がワイドショーなどでよく聞かれますね。
多くの人が問題意識をもつようになり、少しずつですがそれを告発できる環境も整ってきたということでしょうか。
しかし、こと介護業界においてはセクハラに対する認識が少し遅れて(もしくはずれて)いるように感じることがあります。
特にご利用者様から受けるセクハラに関しては、相手が認知症を抱えていたり体力的には弱い立場であるということが対処を難しくしている部分もあると思います。
私のデイサービスでは入浴を1対1で行うからかセクハラに思われるような行為は少なくありません。
そしてその度に対処に頭を悩ませてきました。
今回は介護事業の特殊性を考えてセクハラの加害者がご利用者様であった場合を想定してどのようにリスクを管理していけばよいかを論じてみたいと思います。
セクハラのリスク
一般的にセクハラの定義は地位や力関係を盾に性的言動で相手を困らせることであり、受けた側が嫌な思いをした場合全てが当てはまることになります。
どんな職場でも起こってしまう可能性があるため、経営者や管理者はデイサービス内でセクハラが起こってしまった場合のリスクを把握しておかなければなりません。
セクハラのリスクは大きく言って下記の2つです。
- 被害者が施設を去ってしまう可能性(人材の不足)
- 加害者が利用中止になったり施設の悪い噂がたってしまう可能性(売上への影響)
対処に関しては上記のような結果を導かないように行っていくことを前提とします。
加害者なんてすぐにやめさせるべきだと言う方もいらっしゃると思いますが、経営者としては売上のことも考えなければなりません。
当然セクハラの内容にもよってはすぐに利用中止にしたり警察沙汰にしなければならないこともありますが、問題の重大性や影響を考えて行動しなければなりません。
いずれにしろ経営者としての最高の対処方法は『加害者のご利用者様が二度とセクハラ行為を行いわないような体制を整え、被害者とは直接触れ合う機会のないような勤務体制にする』ということだと思っています。
セクハラの対処法
2度とセクハラを行えない環境
ご利用者様が2度とセクハラを行えないようにするには物理的方法と心理的方法が考えられます。
簡単なのが物理的方法で、全ての介助を同性が行えば良いです。それが人員的にも不可能であれば必ず2人以上で対応するとかセクハラ行為を咎めることができる職員を配置することなどがあげられます。
また、セクハラが起こってしまった原因の分析や対処法を職員全員で共有することでセクハラが起こらない環境を作り上げていくことが大事です。
心理的方法はセクハラについて施設として把握していることを暗に伝えたり、ケアマネジャーやご家族に報告することによって心理的プレッシャーをかけることです。
心理的プレッシャーは高齢者の理解力や認知状態を考えて慎重に行わないと予期せぬ自体に発展する可能性がありますので注意が必要です。
被害者のケア
セクハラの被害を受けてしまった職員への対応は、まず当該利用者との接触を断つことです。
できれば勤務日や勤務時間をずらして顔を合わせることすらないようにしましょう。
また、心理的ケアとして会社として職員を守る意思を示し、必要があれば多少の休みを与えましょう。
セクハラの防止策
当然最も効果的なリスク管理はセクハラを起こさない防止策を講じることです。
ちょっとした事前情報と工夫でセクハラは防げることが多いです。
セクハラの防止策について共有されている事業所は少ないと思います。
日々の業務の中でこの人は危ないなとか、この環境を続けているとセクハラに発展しかねないなという状況を共有するための会議などを設定しておきましょう。
また、セクハラ被害にあったことをすぐに言える環境づくりも必要です。被害にあう方が気弱であることで上司などに相談できない場合があります。
できれば男女どちらとも正社員を配置するなど工夫をしましょう。
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