高齢者は体が不自由になると引きこもる事が多く、家族以外とのコミュニケーションを取らなくなりがちです。
人は話すことをやめるととたんに緊張感を失い、機能が低下してしまいます。
それを防ぐ意味でもご利用者様とのコミュニケーションはデイサービスの大きな役割の1つです。
すぐに溶け込みおしゃべりのし易い方であればいいのですが、そうとばかりは行きません。
私のデイサービスにもコミュニケーションを取るのが難しい方がいらっしゃいましたので、タイプ別に対処方法を見ていきましょう。
プライドの高い高齢者
厄介なタイプの一つにとてもプライドの高い方があげられます。
現役の頃は大会社の重役であったとか、会社を起こして成功されていた方などでその傾向があります。
そういった方は介護職員をバカにしているので職員の言うことをなかなか聞き入れません。
ちょっとでも命令口調に問いかけると怒り出し、「私は〇〇の専務だったんだぞ」と始まるような方もいらっしゃいました。
これは男性多いのかと思われるかと思いますが、男女は関係ありません。
そうなると職員も疎ましく思って対応が蔑ろになり、ご利用者様は更に心を閉ざす悪循環が起こってしまいます。
今回はそういった方への対処方法を話していきたいと思います。
高齢者のプライドをくすぐる
まず、こういったプライドの高いご利用者様の根本にある想いを分析してみたいと思いますが、私はご利用者様は褒められることに飢えているのだと考えています。
昔は周りの人間が尊敬の念を持って接してくれたはずです。社長や先生と呼ばれながら誇らしく働いて来たのでしょう。人を顎で使っていたのかもしれません。
しかし、今ではご家族に煙たがられかつての部下や取引先も訪ねてくれることなどないのです。
昔のように人に慕われ、褒められたい思いの強い寂しい方が多いのです。
ですから、とにかく昔の自慢話をうまく引き出して褒めてあげれば大抵の方は喜んで自分語りを始めます。
褒めちぎれば良いというわけでは
しかし、難しいのがただ闇雲に褒めちぎればいいというわけではないということです。褒めすぎると逆にバカにしているのかと思われてしまう事もあります。プライドをくすぐるような話をするには多少の準備が必要です。
現役時代、どのような職についていたのか、どんな商品やサービスを取り扱っていたのか、どんな街で働いていたのかなどをヒアリングしておき、周辺の情報を共有のノートなどに書き溜めておきます。業界の事情やライバル企業についても知っていたほうがいいかもしれません。
また、ご家族についてもとても誇らしく思っていることがいいので、ご家族の経歴についても調べておいてもいいでしょう。というよりもそういう場合は自らおしゃべりされる事が多いのでメモにとっておきましょう。
ご利用者様がおっしゃる内容についていき、うまく喋りたい内容に誘導できるようになれば必ず心を開いてくれるでしょう。
誰に褒められたいのか
皆さんはどんな人に褒められるとうれしいですか?
プライドの高い方が褒められたいのは「物事をよく理解している自分よりちょっと地位が低い人」です。このポジションを築くのは簡単ではありません。
何も知らない人に褒められても「何も知らないくせに」と拒否反応を示しますし、自分より地位が高すぎる人だと違和感を感じるものです。
ちなみ、私のデイサービスではこういったプライドの高いご利用者様の対応はまず私がやるようにしています。私は慶應義塾を卒業してNTTに務めましたが、それを事前に職員に伝えさせるのです。
そうするとこいつはバカではないなと思い、ある程度ちゃんと話をしてくれます。そこでしたてに出てヨイショ攻勢をかけるととたんに喜んで私を気に入ってくれます。
自慢話が好きな方にとって慶應義塾あたりの学校だとちょうど気持ちよく褒めらてもらえる対象なのでしょう。これが東大とかだと嫌味になってしまう可能性があるので、慶応くらいがちょうどいいのだと思います。
参考になるかわかりませんが、試してみてはいかがですか。
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