入浴中の事故が多いことは他の記事でも説明していますが、最も多い原因はヒートショックによるものです。
入浴中に高齢者がヒートショックを起こしてしまう理由に高齢者は高い温度のお湯を好む傾向がある事があげられます。
今回はヒートショックの主な原因となっている高温すぎるお湯の温度について話していこうと思います。
高齢者は高温好きは銭湯のせい?
高齢者は昔から銭湯の熱いお湯に慣れているからか、42℃以上の熱めのお湯に入りたがる方がとても多いです。
中には45℃以上のお湯に入りたいなどとおっしゃる方もいました。
そもそも銭湯はなぜあんなに熱いお湯で、高齢者がそれを好むのでしょうか。
色々と調べて見ましたが納得行く説明が何個かあったので掲載します。
- 薪や燃料でお湯を沸かしているため
- 熱いお湯による除菌効果を狙っているため
- 熱いお湯にすることで回転率を上げるため(長湯させない)
- 高齢者は肌感覚が鈍っているため
これらの理由からなのか東京都では銭湯に対して42℃以上のお湯を指導していたこともあるようです。
私はあつすぎるお湯の温度が近年の銭湯離れの一因になっているのではないかと危惧しています。
高温の危険性
そもそもなぜ熱いお湯に入っては行けないのかと申しますと、人間は寒暖の差が激しい環境に身を置くと、ヒートショックを起こしてしまうからです。
ヒートショックとは気温の寒暖差によって血管が急激に収縮や拡大することによって起こる発作のことです。
特に冬場は室内(30℃)→脱衣所(10℃)→浴槽(42℃)と急激に変化する環境に置かれます。
脱衣所で急激に血管が縮むことで血圧が上昇し、すぐに熱いお湯に入ってしまうと急激に血管が広がることで血圧がぐっと下がります。
そこで意識を失ったり発作を起こす方がとても多いのです。
最悪の場合は意識を失ったまま溺れて死んてしまう可能性があります。
ですから脱衣所の気温を上げたり、浴槽の温度を高くしすぎないように設定し、それぞれの場面での気温の変化を最小限にしなければなりません。
また、長い時間お湯に入り続けることも避けなければなりません。
基本的に3分程度、長くても7、8分程度に設定をしてください。
それでも熱いお湯を要求する方には
それでも熱いお湯を要求される方は多いです。
『今までずっと熱いお湯に入ってきたんだから大丈夫だよ』などと言って熱いお湯を要求します。
そんな方を説得するにはまず、行政から『40℃程度のお湯の中で入ることを推奨されている』とか主治医からも『熱いお湯は控えるように言われている』と説明しましょう。
ご家族やケアマネジャーの名前を出すと言うことを聞いてくれる方もいらっしゃいます。
私は区役所の調査が来て熱いお湯を使っていると営業停止になってしまうと言って説得させることが有ります。
それでもだめなら最初は40℃くらいのお湯から入ってもらい、お湯を足して徐々に熱くしていきましょう。そうすれば急激な血圧の低下は避けられます。
その他のヒートショック対策
ヒートショックは基本的に血圧の変動(特に血圧の低下の方が影響が大きい)ため、入浴中に血圧が下がるようなことは避けましょう。
例えば食事の後は内臓が活発化することで血圧が下がる傾向にあるのでできるだけ食後すぐに入浴をしないように気をつけましょう。
意識消失などが出た場合
入浴中に意識をなくされるなどの発作が起きた場合、まずは声掛けをして目を覚まします。
あわててはいけません。すぐに目をさますことがほとんどです。
それでも目を覚まさない場合はすぐに浴槽から出して脱衣所に寝かします。
バスタオルなどをかけて急に冷やしたりしないように気をつけてください。
この時点で意識が戻らなかったら人を読んで救急車を呼んでもらいましょう。
心筋梗塞や脳卒中の可能性もありますので気道を確保して喉に楽な姿勢を保ってあげましょう。
待っている間は脈や血圧を計ったり、吐しゃ物などがないかを確認しましょう。
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