入浴が高齢者の健康維持にどのように役に立っているかという調査を千葉大学が行いました。
全国18か所の自治体に居住する14,000人余りの高齢者を対象に入浴の頻度や生活習慣、家庭の状況などを調査したうえで、入浴の回数と体の健康状態に関連性がないか調査しました。
その結果、毎日入浴する高齢者は週0~1回程度入浴する高齢者よりも3割ほど要介護認定のリスクが少ないことがわかりました。
入浴が介護予防に効果があることは知っていましたが、これほどの結果が出るとは驚きでした。
今回は上記の研究レポートをもとに入浴が発揮する介護予防効果についてまとめていきます。
血管障害の予防
入浴による血行促進は心臓から脳や体への血流をよくすることによって、脳梗塞や心筋梗塞などの血管障害予防になります。
また、脳への血流が滞ると認知症になりやすいので血行促進は認知症予防にも役に立ちます。
また、足に血がたまってしまいむくんでいる方などは入浴での水圧で血液が心臓に向かって押し上げられることで解消さることがあります。(ポンプ効果)
リラックス効果
また、入浴は清潔になった喜びや普段の生活と離れた気分を作ることによって大きなリラックス効果を生みます。
入浴のリラックス効果にはストレス解消や、新陳代謝の高まり、睡眠促進などが見込まれます。
また、温度の熱いお風呂(42℃以上)は交感神経を刺激し、頭をしゃっきとする効果があり、ぬるいお風呂(40℃以下)は副交感神経を刺激しリラックスさせる効果があります。
リハビリ効果
入浴による運動効果も高齢者の予防介護にとって見逃せない効果です。
入浴に関わる、移動・着替え・洗身洗髪・浴槽を跨ぐ・お湯につかるなどの運動は様々な筋力や関節の稼働を必要としています。
これらの動きのほとんどが日々の生活でも利用する動きになりますので、入浴は自然とできる超優良なリハビリということができます。
また、水中は浮力が発生するため体重が10分の1となり体が動かしやすくなります。
なかなか体を動かすことができない方も入浴中に簡単なリハビリ運動を行うことも可能です。
ダイエット効果
また、入浴はとても大きなエネルギーを使う運動なのです。その運動量は30分程度の入浴で100kcalともいわれ、これはウォーキング30分と同等となります。
なかなかダイエットのできない高齢者にとって、毎日お風呂に入るだけでダイエット効果があるというのはうれしい話ですね。
また、上記でも書きましたが入浴は新陳代謝を高めますので無駄な老廃物を代謝しやすくしてくれます。
入浴のリスク
入浴には介護予防の絶大な効果があることは説明しましたが、残念ながらリスクも存在ます。
例えば、入浴は血行を促進させますので、血圧を上げたり、自律神経を刺激することで血圧を下げる効果もあります。
この血圧の増減は意識消失を招いたり、高血圧時に脳出血を起こすこともあります。
また、浴室は段差があったり滑る硬いタイルが使われていたりするので、転倒による骨折の危険も避けられません。
特に浴槽をまたぐ際に足が上がりきらずに転倒すると浴槽でおぼれてしまったり、タイルに強く打ち付けられることにより重症化してしまうことが多いです。
高齢者が入浴するときは気に掛ける人がいるときに限ったり、滑り止めのシートや手すりを設置するなど対策を行ってください。
これらに気を付けさえすれば、入浴は高齢者の要介護リスクを下げてくれることでしょう。
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