デイサービスの送迎業務がとても重要な業務であることはこれまで何度も申し上げてきました。
車という凶器になりかねない乗り物を扱って、何が起こるかわからない要介護者を送迎しなければならないからです。
また、業務スケジュールの遂行にあたっても遅れを作らないように迅速なスケジュール管理も必要になります。
当然事故を起こさないように、安全かつ迅速な運転技術を持ち合わせていなければなりません。
デイサービスを利用されるご家族にとって普段から顔を合わせるのは送迎ドライバーだけですから、デイサービスの顔としてのコミュニケーション能力。
様々な能力が送迎担当者には求められます。
しかし、私が一番重要視している送迎担当者の能力は『休みになりそうなご利用者様を以下に施設に連れてこれるか』だということはブログ内で何度か申し上げています。
拒否やその他何らかの困難のあるご利用者様をデイサービスにお連れすることは売上はもちろんのこと、ご家族やケアマネジャーの要望を叶えるとても重要な能力なのです。
さて、我々の施設にもたくさんの送迎ドライバーの方々が勤務してくれており、とても優秀な方や大きく成長された方も多く見受けられます。
今回はそんなドライバーさんたちが困難な事例を解決した方法をいくつか紹介してみたいと思います。
認知症の高齢者を連れ出せ
認知症を患っているご利用者様の扱いはとても難しいです。特に拒否感の強い方をデイサービスに連れてくるのは簡単ではありません。
基本的に拒否の理由を聞きながらその問題を解決してあげることで安心感を与えることによってデイサービスに行く気になってもらわなければなりませんが、そのような論理的思考が通じることばかりではありません。
そういった場合にはその方にあった話の流れを作ったり、多少なり強引にでも連れてくることが必要になります。最近あった一例を見てみましょう。
Aさんは認知症を患っており、ご家族から離れて有料老人ホームで暮らしになられていました。
ホーム内の入浴設備での入浴が困難になって来たということで私共のデイサービス『日帰り温泉型デイサービスはつね』に依頼がありました。
その方の場合、とても拒否が強くて困っていました。
ご来所のために迎えに行くと、「そんな話は聞いてない。予定に入っていない。私は忙しいんだ」と拒否されてしまうのです。
その方は入浴はとても気に入っていただいており、入浴後お帰りになられるまでとても上機嫌でいらっしゃるのですが、ご自身の予定にないことをすることを嫌うようでした。
ご家族にお聞きすると、昔営業職をやっていて、スケジュールを自分で組んで行動していたのでその名残ではないかと思います。
そこで送迎ドライバーはご家族に手帳とカレンダーを用意して、送迎時にご自身で手帳とカレンダーに次に来る日の予定を書き込んでもらうことにしました。
入浴直後はとても機嫌が良いので進んで予定を書いてくれました。
そしてお迎えに行き、同じように「予定に入っていない」と言われた際には「手帳とカレンダーで予定を確認してください」と声を掛けると自分の字でしっかりと入浴と書かれているので、御本人も「あ、そうだった、私の書いた字だ」と納得されてご来所いただけるようになりました。
定員オーバーを解決せよ
ある日の午後のお迎えの時間に突然振替でご利用したいという方から電話がかかってきました。
しかしその方のご自宅はデイサービスから20分以上かかる場所にあって、すべての送迎終了後に迎えに行くのでは提供時間に間に合わなくなってしまいます。
送迎車はそのまま迎えに行けば5分位でつくことができる位置にいましたが、車は満席で乗せることができない状態でした。
頭を抱えながら管理者が送迎担当者に連絡をすると、「添乗員を最寄りの駅で降ろして電車で施設に返すので最寄りの駅まで迎えに来てあげてください」との提案が。
振替利用のご利用者様は送迎担当者一人で乗車させることが可能でしたので、添乗員は必要ないので添乗員用の椅子に座らせることができたのです。
添乗員には少し苦労をかけましたが、無事に振替利用の希望を叶えてあげることができました。
こういった、とっさの機転でご利用者様の確保が可能になると感心した事例です。
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