デイサービスを含めた介護業界で働いていると必ずご利用者様の死と向き合うことがあります。
それもそのはず、ご利用者様はたいてい70台後半以上の方で介護が必要なわけですから。
私がデイサービスに関係し始めてからの7年間でもすでに数十名のご利用者様がお亡くなりになられています。
私自身は死ぬまでデイサービスに通って良かったと思えるようなサービスを続けることが
デイサービスは「死」から逃げるべきではない
ある店舗であった話です。ALSを患ったご利用者様がどうしてもお風呂に入りたいと言うので、受け入れました。
ちょうど私の父と同い年の68歳ととてもお若い方でしたが、進行の早い病気ですからみるみる弱って行き、半年後にはご自身で立ち上がることもできなくなっていました。
そんな中職員から『このまま死にゆくさまを見続けることは出来ないので利用を断ってほしい』という意見が出されました。
ただ死にむかって弱っていくのを見るのが悲しくて耐えられないというのです。
確かに私自身もご利用者様がただ弱っていくのを見守るのはとてもつらい思いでした。
しかし、今後生涯にわたって介護業界に携わっていくことを決めている私にとって、安易に死から逃げていいものかという葛藤もありました。
これからも必ず死とは向き合っていかなければならないし、本人はサービスを受けたいと言ってくれているのに事業者側の都合でサービス停止をしてはならないと思ったからです。
それからしばらく事業所内で話し合いを重ね、結局訴えを起こした職員をそのご利用者様の担当から外し、私やほかの職員が入浴を担当することで決着させました。
職員の大部分がつらいかもしれないけど介護職として死に向き合い、最後までご利用者様に喜んでもらえるようにサービスを提供することが大事だという意見を持っていたことは驚きとともにとても頼もしかったです。
その後もそのご利用者様は喜んで通われましたが3か月後には自力でコップを握ることも、しゃべることも難しくなってしまい入院となりました。
それから1か月もせずにお亡くなりになられたと奥様からお礼の電話がありました。
ご主人は「病院に移ってからはお風呂に入れずに悲しいと訴えていた。最後までお風呂に入れてくれてうれしかった」とおっしゃってくれていたそうです。
死ぬまで通いたいデイサービス
私の目指すべきデイサービスの姿として死ぬまで通いたいデイサービスと言うものがあります。
デイサービスにとって死ぬ直前までサービスを続ける機会はなかなかありません。
死が近づくのがわかると周りの人々は慌て、とにかく入院や施設へ入所させようとしたり、ベッドの上から動かさないようするのでどうしてもご利用を中止されてしまいます。
私の経験としてほとんどのご利用者様は最後までいつも通りの生活を続けたいと思っています。当然入浴も。
なのに弱ってくるとデイサービスに通うのは難しいとケアマネジャーすらも考えがちです。
私のデイサービス『日帰り温泉型デイサービスはつね』は極力死の直前までご利用いただきたいと考え、設備を用意しています。
極端な話、ご利用者様が望んでいるのであれば当日お亡くなりになってしまう可能性があったとしてもデイサービスをご利用いただきたいと考えています。
この考え方は賛否両論があることも承知です。職員にとっても大きな負担になることも分かっています。
ただ、私のデイサービスに通われているご利用者様が『迷惑じゃなきゃ死ぬまで通わせてね。』というのをたくさん聞いています。
デイサービスを経営している経営者の方、現場で働いている介護食の方、死を恐れずにご利用者様を受け入れてるのもデイサービスの役割だと思います。
怖がらずに喜んで受け入れていきましょう。
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