総合事業は正式名称を「介護予防・日常生活支援総合事業」といい、2015年(平成27年)4月の介護保険法改正にて施行された新しい介護保険のサービス及び概念です。
この事業の趣旨として、厚生労働省は「総合事業は、市町村が中心となって、地域の実情に応じて、住民等の多様な主体が参画し、多様なサービスを充実することで、地域で支え合う体制づくりを推進し、要支援者等に対する効果的かつ効率的な支援等を可能とすることを目指すもの。」としています。
大きな変更として、これまで都道府県が指定を行い、国が統一的に決めてきた予防介護サービスを市区町村が指定権限を持ち、報酬額やサービス内容を決めることができるようになりました。
総合事業は、「介護予防・生活支援サービス事業(サービス事業)」と「一般介護予防事業」とで構成されています。
「介護予防・生活支援サービス事業(サービス事業)」は要支援判定を受けた方に対して行われるサービスです。
「一般介護予防事業」は今後要介護状態になる可能性がある方に対して行われる心身合わせた予防活動になります。また、「一般介護予防事業」は介護保険外事業となり自治体が独自の財源で実施する事業であるため地域間格差が生まれやすいです。
総合事業のサービス一覧
介護予防・日常生活支援綜合事業
第1号事業
- 第1号訪問事業
- 第1号通所事業
- 第1号生活支援事業
- 第1号介護予防支援事業
一般介護予防事業
- 介護予防把握事業
- 介護予防普及啓発事業
- 地域介護予防活動支援事業
- 一般介護予防事業評価事業
- 地域リハビリテーション活動支援事業
包括的支援事業
地域包括支援センターを中心として行われる
- 綜合相談支援業務
- 権利擁護業務
- 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
- 在宅医療・介護連携推進事業
- 生活支援体制整備事業
- 認知症総合支援事業
任意事業
介護予防・生活支援サービス事業(第1号事業)
(事業内容)
○ サービス事業は、要支援者等の多様な生活支援のニーズに対応するため、介護予防訪問介護等のサービスに加え、住民主体の支援等も含め、多様なサービスを制度(総合事業)の対象として支援する。
○ この事業は、「訪問型サービス(第1号訪問事業)」、「通所型サービス(第1号通所事業)」、「その他の生活支援サービス(第1号生活支援事業)」及び「介護予防ケアマネジメント(第1号介護予防支援事業)」から構成される。 総合事業のサービスを利用したい方は役所の窓口や地域包括センターで申し込みします。
要介護や要支援認定の可能性がある方は介護認定に移りますが、総合事業のサービス相当の方はチェックリストのみでサービスを開始することができます。
私は総合事業の理念には賛同していますし、方向性としては間違っていないと思っています。
ただし、総合事業が成功するには自治体の政策能力の向上が必要になります。現状を理解し、柔軟な報酬プランや保険外事業との連携を認めていかなければまともな民間企業は参入しなくなってしまいます。
現に総合事業が始まって現行相当のサービスが必要だったのに総合事業の報酬単価が下がってしまったことによって事業者が撤退してしまって、サービスを受けることができなくなってしまった話も聞いています。
総合事業は介護保険課とは別な部署が担当しており、緊密な連携が取れているのか疑問の残る自治体も私は見てきました。
総合事業の狙い
デイサービスに取って総合事業の脅威は、予防のご利用者様を奪われることです。
総合事業が始まって役所内にもノウハウがたまりつつある今、少しずつ攻勢に出てくる自治体も出てきました。
その成功例としてよく聞くのが、公営の体育館を使って予防体操やマシーントレーニングの指導を行っている事業が盛況だというのです。
まさにこれはリハビリ専門デイサービスのやっていることそのものなのです。
講師は介護の知識もあるフリーのトレーナーを呼んで毎日のように行っている例もあるそうです。
金額はデイサービスに通う半分ほどで時間も1時間程度で帰れるようなプログラムが人気のようです。様々なプログラムも用意されているようです。
デイサービスにとって総合事業の脅威を最も感じるのはリハビリ専門型デイサービスで間違いなさそうです。
【介護保険とデイサービスに関する記事はこちら】
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[…] 様々な賛否両論を巻き起こしてきましたが、介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)の制度がアナウンスされて平成30年4月に猶予期間が終了し、いよいよ全国で本格的にスタートします。 総合事業の詳細についてはこちらで説明していますが、各自治体によって制度が自由に設計することができるので、地域の特性に合わせた介護サービスが期待されています。 […]