2000年4月に施行された介護保険法は、急速な高齢化や家族の形の変化などにより高齢者が安心して暮らせる社会が脅かされつつあるため生まれました。
これまでは「措置制度」という自治体ごとにサービスが制定されいましたが、自治体によって差があったり財政を圧迫したりと問題がありました。それを統一的な介護サービスを生み出し家族に大きな負担がかかっていた介護を社会全体の問題として取り組むことを目的とされて始まりました。
また、寿命が伸び続けることによって認知症や寝たきり老人など今まであまり見られなかった高齢者が出てきたこともあります。
介護保険法は、当初3年毎に介護報酬など、5年毎に介護保険制度の見直しを行うこととされていました。
これは人口推移や高齢化によって社会情勢が変わることが見込まれており、5年毎に必要な修正を行い介護保険をより良いものに変えていこうとういうものでした。
改正に大きな力を持っているのは、厚生労働省の社会保障審議会の介護保険部会と介護給付費部会という会議です。これは有識者や学者、財界団体の代表などによって構成された厚生労働大臣の諮問機関です。
介護保険の改正までの間、介護給付費の適正化などが話し合われ、将来の介護保険についての設計図を作っていく会議になります。
ここで話し合われた議題は次の法改正の際に何らかの影響が出ると考えて問題ありません。
それではこれまでの主な改正について記述していきます。
目次
2003年(平成15年)4月
介護報酬改定(マイナス2.3%)
第1号保険料の見直し
介護保険部会設置(以後5年後の見直し検討開始)
2005年(平成17年)6月
介護保険法のいち部を改正する法律(※1)成立
2005年(平成17年)10月
改正法(※1)一部施工(施設給付の見直し)
施設利用者の居住費と食費を保険区給付から切り離し自己負担化
2006年(平成18年)4月
改正法(※1)全面施工
介護報酬改定(マイナス0.5%)
第1号保険料見直し
予防給付の創設(要介護1を要支援2と要介護1に分別)
地域密着型サービスの創設
2008年(平成20年)
介護保険法、老人福祉法(※2)の一部を改正する法律成立
2009年(平成21年)4月
介護報酬改定
第1号保険料見直し
2009年(平成21年)5月
改正法(※2)全面施工
法令遵守のための業務管理体制の整備(事業者へ立入検査や是正勧告、命令権が創設)
処遇改善交付金のスタート
2011年(平成23年)6月
介護保険法等の一部を改正する法律(※3)成立・一部施工
介護福祉士の資格取得方法の見直し延期
介護療養病書の転換期限の延長
2012年(平成24年)
改正法(※3)の全面施工
地域密着サービスに「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」「複合型サービス」が追加
介護福祉士や一定の教育を受けた職員による痰の吸引等の実施許可
介護予防・日常生活総合事業のスタート
デイサービスにおいては6~8時間のサービスが廃止され、5~7時間(-10%程度)と7~9時間(+3%程度)に分けられ、時間を延長するか報酬減かを迫られました。
2014年(平成26年)6月
医療法や介護保険法の一部を改正する法律(※4)成立
地域密着型サービスを住所地特例者が受けられるように
2015年(平成27年)4月
改正法(※4)一部施工
第1号保険料見直し(低所得者の低減)
要支援1、2の予防給付のうち訪問と通所を地域支援事業に移行
特養の入居条件が介護度3以上に
一定以上の所得者の利用者負担額を2割に
小規模デイサービスを地域密着型サービスへと移行(2016年4月から)
この年の改正でデイサービスの給付費は軒並み削減されました。特に小規模のデイサービスは売上の10%削減と大きなダメージを負いました。
その他、中重度ケア体制加算など介護度の高いご利用者様の受け入れが多い事業所への加算が創設されました。
2015年(平成27年)8月
改正法(※4)全面施工
介護サービス利用料の自己負担割合、2割の創設
高額介護サービス費の負担上限額の増加
介護保険3施設の食費・部屋代の減額
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