私もデイサービスの現場を5年間に渡って見てきました。
中には少々困難なケースもありました。医療的や金銭的な問題の場合はデイサービス側がどうすることもできない事が多いです。
今回から数回に分けて困難なケースのご紹介とその対処法について論じてみたいと思います。
目次
徘徊・うろつきなどの認知症のあるケース
認知症がある方で体力が残っている方は徘徊などの症状が出やすいです。
短期記憶が曖昧になっているため、デイサービスにいる自分を「どうしてこんなところにいるんだろう、家に帰りたい」という衝動にかられてデイサービスを抜け出してしまうのです。
ご利用者様は高齢者といえど侮ってはいけません。鍵を隠しておいてもいつ見たのか覚えていて鍵をあけて抜け出していしまったケースを聞いたことがあります。また、外ちょっとしてすきに抜け出して職員の自転車に乗ってあっという間に行ってしまい、見つかったのは翌日、20kmも先の駅の改札で保護されたという話を聞いたこともあります。
徘徊の危険性
徘徊は事故やけがなど原因となり、行方不明や死亡の原因となりえます。交通事故や転倒はもちろんのこと、夏は脱水症状、冬は低体温症などの危険があるからです。
認知症の方でも明らかに様子がおかしいのであれば保護される可能性が高いですが、徘徊していても一見普通に散歩しているように見える方もいらっしゃいます。そういう場合は特に発見が遅れるようです。
2016年のデータでは認知症による行方不明者は12,000人程で、そのうち450人が死亡事故に発展しています。また、240名程度の方は行方不明のままになってしまっているそうです。
対処方法
徘徊症状のある方の対処法のポイントは怒ったり縛りつけるようなことをしてはいけないということです。認知症の方を恐怖で縛り付けることは出来ません。ただただ、ここには痛くないという印象が残るのみです。
では、どのように対応するべきか考えてみます。
とにかく目を離さない
月並みになってしまいますが徘徊防止の基本はとにかく目を離さないことです。
職員が全てのご利用者の行動を把握できる職員の配置やフロアの設計をする必要があります。例えば、ご利用者様のトイレ介助中にフロアの目が手薄になり事故が起こることが多いので、トイレは全体が見える場所に設置したほうがいいです。
気をそらせる
気をそらせる方法はとても有効です。短期記憶が抜け落ちてしまうため「帰りたい」という思いを忘れさせればいいのです。
例えば、帰りたいと言い出したら「一緒におやつでも食べましょうか」と誘ってみるとか、「好きなテレビ番組が始まりますよ」とか、外に出て一緒に散歩しているうちに気が紛れて、そのままデイサービスに戻って来るという方法もあります。
認知症の方でもそれぞれ食いつく話題があるはずです。その話題を見つけてしまえば大体同じ方法で気をそらせることが出来ますので、いろいろな話題を振って試してみましょう。
施錠する(センサーを付ける)
私はあまり推奨しませんが、どうしようもない場合は鍵をかけることも検討します。施錠されているとケアマネジャーなどが訪ねてきたときに印象の良いものではないので、ドアセンサーを付けるなどで代用できればそちらのほうが望ましいです。
実体験でお話したように鍵を空けてしまったり、鍵を見つけてしまうこともあるので徘徊防止用の鍵を利用しましょう。
運動などをさせて疲れさせる
これは事前にできる予防策ですが、ラジオ体操や機能訓練などを行わせておくことで疲労感が生まれると外に出たいという気持ちがなくなる事があります。
やりすぎると嫌悪感を与え得る可能性もあるので程々にしましょう。
情報の記入
万が一徘徊が起こってしまった場合に備えて、ご利用者様の洋服などに名前や連絡先をつけてもらいましょう。
上着の襟の裏に縫い付けるなど本人が消したり捨てられないようにしてください。
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