私が経験してきた困難なご利用者様のケース第3段です。
困難なケースはうまくこなすことができればケアマネジャーからの評判も上がり信頼も得られるので嫌だとは思わず、チャンスだと思うべきです。
特に今回お話する、被害妄想を持たれている要介護者に関してはご家族やケアマネジャーも困り果てていることが多いので、うまく扱うことが出来たらご家族からの信頼も得られることになります。
被害妄想
被害妄想が出るのは認知症患者だけではなく精神疾患のある方もいらっしゃいます。
こういった症状が出ると完治することは難しく、症状を和らげたり進行を止めるのがやっとです。
被害妄想があるご利用者様は非常に取扱が難しいです。
被害の内容も多岐にわたり、加害者は家族なのか、介護関係者なのか、はたまた加害者すらも妄想なのか、など色々な可能性が考えられます。
妄想がある方は一度信じ込んだらどんなに説明しても納得することはないと思ったほうがいいです。
被害の内容
被害妄想の被害内容は、物取られや金銭の無心が最も多いです。ご自身が昔持っていたものを思い出して、手元にないことをきっかけに妄想が始まったりします。
また、夫婦間では浮気を疑ったり、暴力を受けていると訴えることが有ります。
ケアマネジャーさんを夫の浮気相手だと思い込んでしまったご利用者様の対応はとても苦労しました。
中には覗きなどの性的な被害を訴えるようなケースもあります。
加害者への妄想
被害妄想を持たれた方の特徴として加害者をある程度定めていることがあげられます。
お嫁さんに宝石を取られたとか、息子が家にやってきて通帳を持っていってしまうなどと誰か相手を特定している場合もあれば、夜中誰か知らない人が家に入ってきてお金を取っていってしまうなどという相手は特定できていないケースがあります。
特に困るのがデイサービスの職員を加害者だと思いこんでしまうケースです。そうなってしまうとその職員が入浴などを担当しようとしても拒否されてしまいます。
本当の場合も?
これも難しい問題なのですが、ご利用者様の言うことが被害妄想だと思っていたものの、本当に被害に合われているケースがあります。
全て本当ではなかったとしても部分部分が実際にあった話だということもあります。ですから、まず被害妄想を様な症状に気づいたらご家族よりも、まずはケアマネジャーに相談して見るべきです。
虐待などの発見につながることもあります。
対処方法
被害妄想をお持ちの方への対処方法の基本は、否定しないことです。
否定してしまうと自分の言うことを信じてもらえないと、更に頑なになってしまったり、加害者の仲間だと思われてしまうこともあるので注意します。
まずは話を肯定して聞く
認知症の方全般に言える対応策ですが、まずはご利用者様の話に耳を傾けて共感してあげましょう。
「それは困りましたね。一緒に解決策を考えていきましょう」などとまずは安心感を与えて、なんでも話せる人間関係を築きます。
その後、被害についての詳細をお聞きしてメモに残しておきましょう。日によって内容が変わってはいないか、加害者が変わってはいないかなど注意してメモしましょう。
その際は、話を聞く担当者を決めて、この人は信頼できる人だと言う人物を作ることも有効です。特にデイサービスの職員に対して妄想を抱いてしまっている場合はこの人は見方だと思ってもらえいることが重要ですので、誰に心をひらいてくれるのかを見極めて担当者を決めます。
関係者の理解
被害妄想がある方をお預かりする場合、ケアマネジャーやご家族などの協力や理解が不可欠です。綿密に連絡を取り合って情報を共有しましょう。
困るのはご家族が被害を信じてしまうケースです。ご家族に不信感を持たれてしまうと非常に困ります。デイサービスで暴力を受けたなどと言われてしまっては大変です。被害妄想を察知したらケアマネジャーに報告して直ちにご家族に説明してもらいましょう。
物取られ妄想の対処方法
デイサービス側として一番困る、デイサービス内で物取られ妄想が出てしまった場合の対応策は非常に重要です。私のデイサービスでは被害妄想がある方は極力荷物を簡素化してご自身の近くに置いて管理してもらいます。ご家族の協力を得て必要のないものは一切持ち込まないようにします。
基本的にご利用者様の荷物はロッカーで管理しているのですが、サイドテーブルの下に荷物スペースがあるので、被害妄想のあるご利用者様にはそこ利用をしていただいています。
また、ご自身の前以外ではバックは開けないように気をつけます。できるのであれば自分でバックを空けさせて必要な物を取り出させましょう。来所時にバックの中身を確認させておくのも必須です。
【管理・営業業務の記事はこちら】