デイサービスでの入浴は他の介護サービス同様、同一の金額(入浴加算)が設定されています。地域によりますがせいぜい50円(介護保険では500円)ほどです。
この程度でお風呂まで入れるのだから、どんなお風呂でも満足だし、同じようなサービスを行っていると思っていませんか?
それは違います。
ご利用者様ご本人はお風呂をとても楽しみにされています。
デイサービスに入浴のためにいらっしゃる要介護者はご自身では入浴することができないはずです。汚れたり、汗をかいたときなど自分の入りたいときにお風呂に入れない苦しみは我々には想像できないでしょう。
また、入浴は裸になって密室で長い時間、同じ職員と過ごすことになるので快適な空間にしてあげることがとても重要なのです。
初めて来所されたご利用者様に、その日のうちで最も思い出に残った時間を聞くとたいてい入浴と答えられます。入浴はそれくらい重要なサービスなのです。
ここでは入浴サービスを行うための設備について記載していきます。
多人数で入るのか、個別に入るのか、浴槽のスタイルはどういうものなのか、そのデイサービスが持っている設備に寄って、入浴スタイルはまるで違います。
浴室の大きさ(個浴場か大浴場か)
デイサービスの浴室は大きく分けて個浴場と大浴場に分けられます。
個浴場は一人ひとり入浴していきます。
大浴場は銭湯を想像してもらえばわかるように大人数で入浴していただくことになります。
定員20名以上の大規模なデイサービスでは大浴場で一度に4名以上のご利用者様が入浴される事が多いです。
大浴場の中でも大きな浴槽が置かれているタイプと、個浴槽がたくさん並べられているタイプがあります。
大人数で大きな浴槽に浸かるのは銭湯に慣れた高齢者にとって親しみやすい入浴となるかもしれません。
大浴場の場合、職員は数名がバケツリレーのように配置され、洋服の着脱、洗身洗髪、浴槽と3チームほどに分かれて、自分の持ち場が終わったら次の職員に渡していくというような仕組みを取っています。
3時間で30名ほどのご利用者様の入浴をこなしてしまう施設もあるように、入浴のスピードに関してはとても早くすみます。
逆に小規模のデイサービスでは個浴場が多く、職員も一対一での対応が多くなります。
ゆったりと落ち着いた気分で入浴することができますし、安全性やプライバシーも守れます。
小浴場にはユニットバスと自作浴室があります。
ユニットバスは作り付けの浴室で自由な設計をすることはできませんが、値段も安く効率的です。
自作の浴室であれば自由に設計をすることができますが、値段が高くなってしまいがちです。
ただ、入浴に1人の職員がつきっきりにならなければならないなど、時間的に無駄が出てしまうことや、浴室が狭くなってしまい家と変わらないなどのクレームにつながることもあります。
浴槽の種類
デイサービスに設置する浴槽も様々なタイプがあります。
介護浴槽のメーカーもどんどん新しい商品を開発しており、福祉機器展などに行くとその進化を肌で感じることができます。
浴槽の種類は大きく分けると一般浴と機械浴に分けられます。
機械浴を使う利点は介護度の高いご利用者様も受け入れることが可能になります。ただ、機械浴ばかりになってしまうと、逆に一般浴で入りたいご利用者様が入浴できません。
一部機械浴は一般浴にもなりますが・・・
どういったご利用者様をターゲットにしていくのか、ちゃんと考えた上で浴槽を選ぶ必要があります。
機械浴はその形状から複数のタイプに分けられますが、現在の浴槽は多様化していて一概に分けることはできません。
以下に浴槽のタイプを重なる部分もありますが5つに分けて説明します。
一般浴槽
一般的家庭にあるような浴槽です。浴槽のヘリを跨ぐ必要があり、高さによっては高齢者が跨ぐことができない場合があります。
高齢者用の浴槽になると浴槽の長さが短くなっていたり、浴槽のヘリが広くなっており、バスボードのように使えるものもあります。
リフト浴槽
古くからあるハンモック型のリフトが付いている浴槽や
入浴用の車椅子を引き上げるタイプのものがあります。
ストレッチャー浴
座位をとることができない方が使うタイプの浴槽です。
ストレッチャーに寝たまま載せて入浴することができます。
ストレッチャー浴はだいたいリフト浴やドーム浴になります。
チェア浴
入浴用の椅子に座ったまま入浴できるタイプの浴槽です。
麻痺はあるが座位を取ることができる方が利用します。
チェア浴はリフト浴やドーム浴で使われることが多いです。
ドーム浴
ドームと言われる形状の浴槽に入り込んで入るタイプの浴槽です。
ストレッチャーやチェアに乗って、自動車の洗車のように運こびドームに挿入されます。
ドーム内には無数のシャワーノズルがついていて、
中でお湯を浴びる事で入浴しているような効果を求めていきます。
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