デイサービスでも店舗が多くなってきたり、規模が大きくなったりすることで、経営者が現場に出られなくなると持ち上がってくる問題があります。
それは経営者の方向性が曖昧になってしまい、現場が勝手をやってしまうことです。
それまで、経営者の指導のもとで働いてきた社員たちは経営者のカリスマ性惹かれてついて行っているように見えますが、実はそれぞれ少なからず自分の理想とするデイサービス像を抱えながら働いています。
経営者の元にいる場合はそんなこと考えることもなく働いていたでしょうが、経営者がいなくなるといきなりその思いを実現させようと動き出すことがあります。
好き勝手やりたがる従業員
介護に対する思いや理想のデイサービスに対して思いを持って働くことは大事です。
日々サービスをより良いものに変化させて行きたいという思いから生まれるのですから、どんどん考えさせるべきです。
しかし、それは経営者に対して提案した上で、経営者が判断するべき問題で、社員が独断で行うべき問題ではありません。
私の事業所でも私が新店舗開発のためにある店舗を任せた管理者が、勝手に『ご自身で立位の保持ができないご利用者様』の受け入れを停止してしまったことがありました。
これは入浴担当の職員からの希望が強く、新しい管理者が職員からのプレッシャーに負けてしまったうえでの決断でした。
管理者なりに職員がやめてしまうリスクを考えていたようですが、
そのせいでもともとご紹介いただいていたケアマネジャーからクレームがわんさか来てしまいました。
従業員を方向づけるにはお金が1番?
さて、前置きが長くなりましたが、経営者の目が行き届かなくなり、明後日の方向に事業所が向いてしまった場合は、お金で解決するのが最も効率的です。
お金で解決と言うと少し嫌な印象を受けますが、経営者が思う道に進んでくれた職員にはお金を払うという報酬制度を作るのです。
上の例の場合私が取った行動は、立位の取れない利用者を受け入れた場合、管理者には一人につき月1,000円の昇給を決めました。
また、入浴担当の職員には立位の取れないご利用者様の入浴介助を行った場合、1回に付き100円の報奨金を給与にプラスすることにしました。
これを行うことで管理者は積極的に介護度の高いご利用者様を受け入れるようになり、職員たちは積極的に介護度の高い方の介助をするようになりました。
組織に対して何か方向性を示したい場合、同じ方向を向いた構成員に対してお金を支払う制度を作るという戦略は国の政策なんかにも使われています。
例えばフランスは1999年代の前半まで日本と同様に低出産率に悩む国でしたが、出産に対する補助金な子育て手当を拡充したところ今では出生率が2.0を超えるレベルになっています。
また、アメリカなんかでは国が成長産業と認めた事業には徹底的にお金を流し世界のトップに押し上げる戦略を取っています。
このように組織を動かすにはお金を使うのが一番効率的です。
その際に不公平だという不満が出るかもしれませんが、それは無視して行ってください。
報酬を貰えるチャンスは正社員、パート関係なく与えなければなりません。
自然と職員は示した方向に向いて動き出すはずです。