介護給付費とは
都道府県または市区町村に指定を受けた介護保険指定事業者は、利用者に提供したサービスの報酬について国民健康保険団体連合会(以後:国保連)にたいして9割、ご利用者様に1割(条件により2割または3割)請求をします。
この国保連合会からサービス事業者に対して支払われる報酬を介護給付費と言います。
基本的に医療サービスを受けた時に支払われる診療報酬と同じ仕組みになります。
介護給付費の財源
介護給付費の財源は税金が5割、介護保険料が5割になります。
詳しくはこちらを御覧ください。
介護給付費債権とは
介護給付費は1ヶ月分をまとめて翌月10日に国保連へ請求をかけます。そしてその翌月の月末前後にサービス事業者の指定口座に入金されます。
つまり、報酬の9割分は実際サービスを行ってから2ヶ月以上過ぎてから入金されることになります。
この2ヶ月後の入金というのがサービス事業者の資金繰りを圧迫します。
さて、この介護給付費を債権だと意識している経営者の方はいらっしゃいますか?
あまりいらっしゃらないのではないかと思います。
債権とは簡単に言うと、ある人格に対して金銭の請求ができる権利のことです。
サービス事業者は国保連へ報酬を請求することで入金を行っているわけですから、介護給付費は債権であると言うことが出来ます。
つまり、サービス事業者は国保連に対して2ヶ月後にお金を支払ってもらえる債権を持つということになるのです。
債権は繰り返す
介護サービス事業者が国保連に対して有する債権は2ヶ月後に入金されることで解消されます。しかしその頃には翌月の債権が発生していますので、債権が解消されては債権が発生されることになり、常に介護給付費の2ヶ月分の債権を保有し続けることになるのです。
月の売上が1,000万円あるデイサービスは1,000万円×0.9×2ヶ月の1,800万円の債権を保有し続けることになります。
債権があるということは
さて、この債権は財産権です。売ったり貸したりすることができるのです。ここの目をつけた資金繰り方法があります。
ファクタリングと言う言葉を聞いたことがあるでしょうか。ファクタリングとは債権の買取という意味で、債権(請求する権利)を買い取り、現金を支払う資金繰りの方法です。
銀行や金融業者が行っているサービスで、介護給付費も買い取りを行う業者もとても増えてきました。
例えば、上記の1,800万円の債権を金融業者が買い取ることでサービス事業者に1,790万円を支払います。サービス事業者は2ヶ月待たずに現金が手に入り資金繰りをつけることが出来ます。
そして2ヶ月後、国保連は金融業者に1,800万円を支払うことで金融業者は10万円の利益を得ることができるのです。この仕組みのことをファクタリング(債権の買取)といいます。
ファクタリングの注意点
ファクタリングは銀行のような厳しい審査もないですし、スピードも早い事が多いため急な資金繰りに向いています。私の知っている経営者も大きな返戻が出てしまったときなどに利用していると言う話を聞いたことがあります。
しかし、介護給付費を売却するということは国保連からの入金口座を金融業者のものに変更するなど処理が行われるため、慎重に金融業者の質を見極める必要があります。また、手数料と称して多額の利益を要求する業者もあると聞きますので、契約書や事前の説明をしっかりと聞く必要があります。
デイサービスの経営者にとっても資金繰りの施策としてファクタリングと言うものがあるということだけでも知っていて損はないでしょう。
資金調達に関してもご相談に乗れますのでお問い合わせください。
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