どんな事業でも起業当時は経営者が最も働き、最も稼ぐというのが一般的です。
デイサービスもご多分に漏れず、開店当時は経営者自身が現場に出ているということがほとんどだと思います。
そうして始めたデイサービスも、ある程度事業が大きくなってくると経営者は経営に専念するべきかという悩みを持たれる方が多いようです。
私のもとにもそういった相談がよく来ますので考察していきたいと思います。
経営に専念するための売上
デイサービスの経営者の場合、出店直後は自らも現場に出ながら経営を行うことが多いでしょう。
もし経営に専念する場合、その分の社員を雇って人件費を出さなければなりません。
また、経営者自身にも生活や家族があります。私生活を犠牲にする可能性があるような選択はできないでしょう。
ですから経営に専念するにはそれ相当の利益が出ていないといけません。
小規模デイサービスの場合、実績ベースで7割のご利用があれば260万円の売上が出て、おそらく50万円程度の利益が出ているでしょうか。その中から銀行への返済が有りますので現金は40万円程度残ることになります。
40万円程度の利益では経営に専念するという気にはならないでしょう。
私の指標としては2店舗月260万円以上の売り上げ、利益が合計100万円あたりで経営に退くくらいが適当かと思います。できれば現預金も1,000万円程度あると安心です。
そうなれば経営者も私生活に対して安心することができます。
私生活の安心は新規事業のモチベーションやにつながります。
経営に専念するメリット
デイサービスの経営者にとって経営に専念することのメリットを並べていきます。
- 新規出店に力を入れられる
- 多角化に力を入れられる
- 家族や自分に使える時間が増える
経営に専念できるメリットを一言で言ったら自由な時間ができることです。
どこで何をするのか決められておらず、なんでもできる時間です。
時間を何に使うかはあなたの自由です。
新たなデイサービスを出店するために動いたり、他の介護サービスや全然関係もない儲かりそうな事業に進出してみる事もできます。仕事のことは忘れ、家族で過ごしたり自分のための時間にしてもいいでしょう。
もっと早く経営に専念するべきだった
私もこれまで店舗を増やす際には別の店舗で管理者を行いながら、準備を行って来ましたのでとても苦労しました。
動けるのは夜や週2日しかない休みの日だけなので
私は3店舗目の売上が軌道に乗った段階で経営に専念する事になりました。
月の売上は750万円ほどで利益は250万ほど出るようになった段階です。
今考えるととても遅かったと後悔しています。
現場で管理者をしながらやれることは、限られてしまいます。
新店舗のペースは1年に1店舗しかできなかったですし、他の事業に対する研究や情報収取を行うことも出来ませんでした。
経営に専念後はフランチャイズ事業と訪問看護事業に着手することが出来ており、
一気に事業をすすめることが出来ています。
現場が好きなら現場を続けるべき
最初の問に戻りますが、デイサービスの経営に専念するべきか聞かれると私は「あなたがこの事業を始めた時、どんな夢を持っていましたか?」と聞いています。
デイサービスの経営者にはいつまでも現場で働いていたいという方が意外と多いです。
そんな場合は現場を続けながら経営部門で外注できる部分を外注して行くことを勧めています。そうすれば現場にいながら新規店舗のことや多角化についても考えることができるようになります。
経営に入るということは現場にはなかなか携わらないということになります。
それはあなたが起業した当時に思い描いた理想に叶うものでしょうか。
介護事業の経営者に多いのですが、現場が好きで利用者のためにいつまでも近くで寄り添っていていたいなど、と考えて企業を決意している方がいます。
その場合、無理をして経営に専念する必要はないと私は考えています。