デイサービスや他の介護事業を営んでいる経営者の方と話しているとよく出る話題なのですが、今回はそれについて持論を述べて見たいと思います。
それは、『デイサービスは介護事業なのかサービス事業なのか』というものです。
こんなこと定義する必要ないじゃないかと考える方もいらっしゃるかもしれません。
現実、そう意識せず介護事業として捉えられている経営者の方が多いでしょうか。
私は会社としての方向性や職員教育に大きく関わる考え方の違いに結びつく可能性のある考え方の違いだと思っています。
サービス業の定義
さて、一般的なサービス業は下記のように定義されています。
- サービスとは人と人との連携や協力で、人の状態変化を引き起こす行為
- サービスは目に見えず、消費されるときにしか提供されない
サービス業の例としては飲食業や宿泊業、美容院やエステサロンなんかもサービス業です。
広義に捉えれば弁護士や郵便なども含まれてきます。
さて、デイサービスを見てみると、上記の両方共当てはまっています。
つまりデイサービスはサービス業の要件を満たしいていると言うことになります。
それでもデイサービスは介護事業
しかし、デイサービスは介護保険法によって強く縛りつけられています。
提供するサービスに対して、一律の報酬が決められており提供するための条件も細かく定義されています。
介護保険上に定められたこと以外のサービスを提供しても基本的に報酬を得ることができないどころか、違法となってしまうことがあるのです。
このことがデイサービスをサービス業として見ることが出来ない理由になっているのだと私は感じています。
サービス業最大の特徴:お客様を喜ばせることは何でも(報酬化)可能
サービス業はサービス自体を売っているというよりはサービス後に感じている心の変化を売っているのです。心の変化が期待できればお客様はお金を支払うのです。
つまり、お客様が喜ぶのであれば何でもサービスにして提供することが可能だということです。
例えば、美容院に来た人に対して髪を切った後にネイルアートを行ってあげれば喜んでくれることでしょう。
近年デイサービス数の急増や介護報酬の削減によってデイサービスは過度な競争にさらされています。地域の中で生き残るには多くの需要にマッチした特徴が必要になっています。
今までのように介護保険に定められたサービスのみを提供するのではなく、サービス業として捉え、ご利用者様が喜ぶことであれば何でもプラスしていこうという姿勢が大事になってきます。
介護事業を意識することの弊害
皆様の施設でもこういった職員はいないでしょうか。
介護事業であることを意識し過ぎてしまい、ご利用者様が喜ぶことよりも介護保険上のサービス提供を優先させてしまう職員です。
例えば、桜の季節ご利用者様が外に出て花見をしたいと言ったとしましょう。
そこで介護保険法に固執すると外出は不可能になってしまいます。特にケアマネの介護プランで指示されているわけでもないし、報酬がもらえるわけでもないからです。
しかし、サービス業として捉えているのであれば、おやつの一つでも持っていってみんなでお出かけする選択ができるはずです。
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