パート3までは主に規模の経済性についてお話していますが、ここからは数字に現れにくい効果についてお話していきます。
これまでの記事
大規模デイサービスであることの信頼性
大規模デイサービスは信頼性が高いと言われますが、それには複数の理由があります。
資本の信頼性
デイサービスでなくても店舗の規模が大きくなればなるほど初期投資にはお金がかかります。
デイサービスに限ると10人定員の小規模であれば、2,000万円程度で開業も可能になります。当然設備や物件などによっては3,000万円あればまかなえるはずです。
それが30人定員となれば最低5,000万円、50人定員となれば億を超える開業資金が必要になることでしょう。
1億円を店舗のために用意する資金力があるということ自体、大きな医療法人が母体であったり、独立系の法人でもこれまで利益を積み上げられている必要があります。
デイサービスに限らずに店舗経営がたち行かなくなるのは現金がなくなり、従業員に給料が払えなくなってしまい利用者を受け入れられなくなることによるものです。
→デイサービスが潰れていくさまはこちら
当然資本がどれほどあるかがデイサービスの信頼につながるのです。ケアマネジャーや利用者にはデイサービスの懐事情はわかりません。大きいだけで資本的信頼が得られるのです。
ケアマネジャーに対する信頼
ケアマネジャーが最近頭を悩ませている事象の一つにデイサービスが潰れてしまい、デイサービス難民がでてしまうことです。
デイサービスが潰れた場合、利用者が次に行くデイサービスを探す義務を負いますが、実態はケアマネジャーが探す場合がほとんどです。
ただでさえ忙しいケアマネジャーが新たにデイサービスを探すのは大きな労力を必要とします。
2012年からのデイサービスの報酬削減傾向は経営を圧迫し、近年ではとくに小規模デイサービスの閉鎖が目立っています。
ですから、ケアマネジャーは思った以上にデイサービスの経営状態を気にして紹介先を選んでいるのです。
当然多店舗展開していたり、大規模であるだけで安心感を与えることができるのです。
利用者(家族)に対する信頼
利用者や家族は急変などがあった場合、臨機応変な対応ができるデイサービスを求めています。
職員数の少ない小規模のデイサービスでは急変が起こった時に救急車に乗るなどという対応が困難です。こんなとき大規模のデイサービスであれば一人の職員がいなくなったところでなんとかできる可能性があります。
同様に小規模のデイサービスだと急な追加利用や送迎時間の変更、食事の準備などに対応することができない場合が多いです。
また、小規模デイサービスは看護師がいないことが多いです。大規模デイサービスには必ず看護師が勤務していますので、医療的な不安を抱えた利用者や家族にとってもの安心を得られるのです。
職員に対する信頼
私が大規模デイサービスが得られる信頼性のうち最も大きなものがこの職員に対する信頼性だと思っています。
昨今の最悪の人不足時代と呼ばれる介護業界において職員は働く施設を厳しい目で選別しています。
突然閉鎖してしまうような施設で働きたくはないでしょうし、休みたい時に休みの取れない施設で働くのは避けたいでしょう。
大規模デイサービスであればすぐに潰れることはないでしょうし、職員の数も多いため思い通りのシフトに入れると考える職員がいてもおかしくはありません。
また、大きい施設のほうが人事評価の仕組みも整っているので昇給や労働環境が整っている場合が多く将来が開けて見えるのです。
当然大きい施設であれば必ず上記のような施設であるわけではありませんが、小規模事業所よりは良い労働環境である傾向は間違いないでしょう。
このブログを読まれている介護関係者の皆様も、小規模デイサービスのほうが採用に給していることが多く、大規模デイサービスのほうが若くて将来性のある職員が多く働いているのを目にしているのではないでしょうか。
パート⑤に続く。
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