デイサービスの経営に限らず現金の出入りの管理は経営者の重要な役目の一つです。
すでに経営を始めている方であればデイサービスにおけるキャッシュのスケジュールはだいたい頭に入っているでしょうし、お金が潤沢にありキャッシュにこまることはないという方は読み飛ばしてもらってもいいかもしれません。
これからデイサービスの開業を考えられている方は是非この記事を参考に支払いスケジュールについてかんがえてみてください。
開業当初、私も経営者として毎月月末に資金繰りを考えなければいけない時期がありました。
資金繰りに追われていると精神的にも肉体的にも厳しいもので、精力的な営業もできませんし、ご利用者様や職員にしっかりと接することもできなくなります。
デイサービスにおける収入と支出について理解しておき、いざとなっても困らない資金のサイクルを作っていきましょう。
介護事業所の収入の特徴
介護保険サービスの収入の特徴として、サービスに対する介護給付費はサービスの2ヶ月になることが上げられます。
ご利用者様が増えたことにより職員を採用した場合人件費は採用直後にかかってきますが、その売上は2ヶ月後になるのでキャッシュ・フローを圧迫されることになります。
また介護給付費を請求しても返戻(返戻についてはこちら)が発生してしまい、入金が大きく減ってしまう可能性もあります。
しかも再請求を行えるのは返戻に気づいてから2ヶ月後になりますので、国保連から月末近辺に来る返戻の通知はいち早く確認するようにしましょう。
ご利用者様からの利用料も翌月に請求されている事業所がほとんどだと思います。
しっかりと集金を行っておかないと滞納が増えてしまうこともあります。
こういった収入の遅れについてはしっかりと意識しておかなければなりません。
また、介護給付費の入金はだいたい23日ごろから月末まで都道府県によって変わってきます。
例えば東京都では毎月23日(休日の場合は前倒し)ですが、茨城県は毎月28日になったりとかなり差がありますので必ず開業前に都道府県の国保連に確認をとっておきましょう。
デイサービスの支出
支払いに関して最も大きいのは給与です。
デイサービスにおける支出の5割以上を占める給与は必ず介護給付費の入金の後に設定します。
上記茨城県の場合は30日に給料日を設定するなど、工夫してください。
また、他の支払いに関しても介護給付費の入金日の後にしましょう。
次に大きい支払いとしては家賃が挙げられます。家賃の支払いも介護給付費の後に設定しましょう。
水道光熱費やガソリン代に関してはクレジットカード決済が使えますので利用しない手はありません。
支払いを1ヶ月遅らせることができますし支払日も統一されます。また、個人のカードを使えばポイントもつきます。
銀行への返済に関しても担当者も理解しているので介護給付費の入金日に設定していると思いますが、たまに無知な担当者もいるので注意してください。
支払いが遅れて良い物、悪いもの
どうしても資金繰りがつかない場合、支払いに優先順位をつけていかなければなりません。
優先順位の付け方ですが支払いが滞ってもデイサービスの運営が回って行くものから選んでいきます。
まず、絶対にやってはいけないのが給与の遅延です。
給与が遅れると瞬く間に職員間に不安が広がり、サービスの質の低下につながります。
例え遅れが1日でもやめてしまう人間も出てしまうでしょう。
ですから給与の遅延は本当の最終手段です。
給与が遅れた事業所は廃業の一歩手前だと思って差し支えないです。
もし、最初に支払いを遅らせるとしたら社会保険料でしょうか、社会保険料は振込用紙が毎月送られてくるだけで、1週間程度遅れたところで督促が来ることもないでしょう。
しかし、社会保険料を何ヶ月も滞納させてしまうと年金事務所は介護給付費の差し押さえなどを行う可能性がありますので、滞納は1ヶ月程度で納めなければなりません。
また、大家との関係にもよりますが、家賃も支払いの遅延をお願いしやすいのではないでしょうか。
家賃が遅れたところでいきなり追い出されることはないですし、敷金や保証金が残っていることが多いでしょうから少しは待ってくれるはずです。
銀行の支払いについてはそのリスクを考えます。
一度でも遅延が発生してしまうと借り換えや借りましができなくなってしまう可能性もありますし、担保を取られている場合は下手したら強制執行などの選択もありえます。
銀行の支払いを遅らせるのであれば担当者と入念に話し合い、決めなければなりません。