介護業界でもPDCAサイクルの導入について論じられることが増えてきました。
PDCAサイクルとは商品の生産過程やサービスの実行過程などの業務改善を永続的に行うための仕組みのことです。
業務改善のプロセスを、計画・実行・評価・改善の4つに分け、実行された業務改善に対して評価再改善を行い、更に改善計画へとつなげることで永続的に業務の改善を行っていくことになります。
目次
PDCAの項目
計画(PLAN)
生産過程やサービスの実行過程での問題点について改善策を計画します。
問題点とは理想や目標と現実との乖離です。
その乖離を埋めるための計画を立てるということです。
実行(DO)
計画を実行します。
評価(CHECK)
実行された計画がうまく機能しているか、予定通りに進行しているか評価します。
改善(ACTION)
評価を経て問題解決へ向けてさらなる改善を行います。
PDCAサイクルの具体例
では、私のデイサービスでPDCAサイクルを使って業務改善を行った実例を紹介します。
ご利用者様の増加に伴って入浴業務の時間短縮が必要になったときの例です。
計画:入浴介助時間の短縮のために着脱時のみ職員を2人対応にする
実行:1ヶ月間、着脱は2人対応してみる
評価:一人あたり2分ほど早くなったが効果のない方もいた
対策:麻痺がある方のみ2人対応にする
再計画:麻痺のあるない関係なく2人の方が早い方は2人体制で着脱を行う
最初の対策として麻痺のある方のみ職員2人体制にしたのですが、PDCAサイクルはそこで終わらせていては意味がありません。その後も常に改善計画を考えなければなりません。
最終的には麻痺のある方に限定せず、2人でやった方が早い方に関しては2人体制でやるようになっています。
PDCAサイクルの問題点
PDCAサイクルが普及しない点は下記のような理由があるからだと思います。
私は介護業界においてはPDCAサイクルはあまり有効でないと思います。
元々工場などの改善が頻繁に必要になるで生まれた手法だからです。
計画の前に問題点の洗い出しのフェーズがない
PDCAサイクルを始めろと経営者や上司に言われても、はてなんの計画?となってしまいます。
計画するにはそもそも問題点の洗い出しから入らなければならないのです。
対策が機能しない
評価と対策フェーズでやることの差がわかりにくいです。
評価が行われたまま対策へとつながらないです。
対策から計画への流れがわかりにくい
よくPDCAサイクルを回せ!と言われますが、
A(対策)からP(計画)へ循環がイメージできないのです。
先程の例で言うと麻痺のある方のみ2人対応にした時点で問題点は改善されており、これ以上の改善の必要性がないように感じるのです。
PDCAサイクルに代わるもの
私は問題がある業務について改善を行う際はPDCAサイクルを少し改良して下記のように対処しています。
・問題の共有化
・改善計画
・実行
・評価
・経過観察
問題の共有化は月に1度の会議で行い、その後は議事録で管理します。
その場で改善計画を立てて実行評価します。
次の会議移行3ヶ月間経過観察ポストに入れておいて問題解決されていれば、その問題については終了としています。
改善効果が見込まれない場合は再度改善計画に戻って改善を行っていきます。
こうすれば業務の問題点の認識から改善の終わりまで網羅されているので、改善を行う現場の職員にもイメージがしやすくなります。
もしよろしければ試してみてはいかがでしょうか。
[…] (PDCAサイクルの弱点→)については別の記事で記載しましたが、私は他にも弱点がると考えています。 それは業務の改善について考える仕組みにはなっていても、業務自体の必要性について問う仕組みがないことです。 […]
[…] 事故報告や対策の実施が終わったら、事故の際の初期対応が適切だったかを検討します。 (PDCAサイクルに関してはこちら→) […]