さて、今回の記事は生命保険の代理店制度と介護事業におけるケアマネの立ち位置が似ているという話をしていきます。
生命保険はとても厳しい競争を行って来たおかげで代理店制度がとても洗練化しています。
保険会社がどのように代理店を扱っているのかを見れば何かのヒントになるかと思い友人に聞いた話も載せていきます。
保険の代理店とは
皆さんは生命保険や年金保険などに入られているでしょうか。
私は死んだところでそこそこの資産もありますし、家族も困りもしないので一切入っていませんが。
脱線しました。生命保険の会社が保険商品を売るときに行うシステムとして代理店というものがあります。
個人や法人が代理店登録をするとその保険会社の商品を売ることができるシステムです。代理店と保険会社の間には雇用契約などの強い結び付きがない分、他の保険会社の商品も売ることができます。
特に外資系の保険会社の多くが採用しているシステムで、全国に大量の代理店を抱えています。
一方古くからの国内の保険会社はセールスレディなどと呼ばれるような社員を抱えている事が多いです。
さて、代理店は保険商品を売ることによって報酬をもらいます。
保険会社にとっては社員を雇う必要がありませんし、代理店にとっては社員として働くよりも良い報酬がもらえるのでWin-Winの関係になれるという仕組みです。
代理店は数ある保険会社の商品から商品の特徴や報酬額によってどの会社のどの保険を売るのかを決めます。そのため保険会社は様々な商品を用意し、大きな報酬を設定することで自社の保険を売ってもらおうというのです。
保険商品はとても利益率の良いビジネスです。利益率の良い入院保険などだ30%を超えると言われています。はいボッタクリですね。
ですから代理店に支払われる報酬もかなり高額に設定されており、成績の良い代理店は個人でも億を超えるような報酬を得ています。
ケアマネと保険代理店の共通点
さて、介護事業の話をしていきましょう。居宅の介護事業所はケアマネを通して利用者を紹介してもらうのがほとんどです。
ケアマネは生活に困難を抱えた利用者に対して、デイサービスや訪問介護、ショートステイなど数ある事業所の中から最も適した事業所を紹介し介護を提供します。
そのために利用者のアセスメントを取り、経済状況から家族関係までを把握した上で必要なサービスを設計します。当然サービスを開始してからも満足度やアセスメントの変化をアップデートし、都度サービスの追加や減少を行っていきます。
まさに保険の代理店と同じですね。
保険の代理店も1名(個人)から十数名程度の法人が多数を占めていることも似ています。
基本的にそれぞれが個人で動いているものの横でのつながりが強く、良い(報酬が良い)保険商品があると一気に広まるところも似ているかもしれません。
決定的な違い
さて、ケアマネと保険の代理店の決定的違いは代理店報酬が存在しないということです。介護事業所がケアマネに報酬やキックバックを行うことは違法です。
保険会社が多くの費用を使って自社の商品を紹介してもらうのに対して、ケアマネは費用を一切かけずに宣伝や契約までの段取りを行ってくれるとてもありがたい存在なのです。
報酬の代わりに利用者が喜ぶような介護を行っていればケアマネは満足して紹介を続けてくれます。
保険の代理店の場合は新商品を出すと一時的に報酬を上げたりボーナスをつけて保険を売り出すなどキャンペーンを張ります。
介護事業所なそんなことも必要ありません。ただただ良い介護を続けていればいいだけです。
そう、ケアマネはとても使い勝手のよい代理店だと思えば、介護事業はとても割の良い事業であることがわかります。
ぜひデイサービスを始めましょう!
代理店とのうまい付き合い方
さて、保険会社が代理店にたくさん商品を売らせるために行っていることを真似すればケアマネ営業に役に立つはずです。私の知り合いで某外資系保険会社の代理店担当の人間がいるので、代理店戦略について聞いてみました。
報酬以外の代理店戦略
- 商品の名前やキャッチフレーズはわかりやすく
- パンフレットや商品説明書などをたくさん容易する。ときには動画なども
- 保険商品の説明や社会保障の勉強会などの研修会を開く
- 契約や商品説明などに契約者のもとに同行する
このようなことを戦略として行っているそうです。
代理店は想像している以上に保険商品の特徴や売りを理解していません。保険商品も一社に付き数十種あり、それが何社もあるわけですから当然です。
それを理解させることにほとんどのリソースを割いており、毎週のように研修会を開いて商品説明を行い、同時に契約者の心をつかむための話術や心理術などを含めたロールプレイングなどの研修も行っているそうです。
ケアマネも同様で、数多あるデイサービスのすべての特徴やウリを覚えるのは大変でしょう。その中で自分のデイサービスだけ覚えてもらわなくてはなりません。
特徴もわかりやすく、1つ2つくらいがいいかもしれません。
お店の名前が特徴を表していると尚いいです。
また、代理店が望んだときには必ず駆けつけて契約や商品説明に同行するそうです。中には飲み会や雑用に呼ばれることもありできるだけ参加することで代理店の心を掴んでいるそうです。
この辺は介護事業ではなかなか真似するのは難しいかもしれません。利益供与とみなされてると面倒ですから。
まあ、利用者へ見学を車対応にするとか、パンフレットが足りなくなったらすぐにお持ちするとかであれば問題はないでしょう。
いずれにしても、この記事で最も言いたいことは介護事業所にとって ケアマネは無料で使える代理店であるということです。 そしてケアマネをうまく動かすためのお膳立てに全力を尽くせば、勝手に利用者をつけてきてくれるという最高のビジネスであるということです。
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