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【デイサービス介護職のリハビリ知識】脳血管障害の治療方法

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脳血管障害を起こした利用者がどのような治療を行っていた(いる)のかを知ることはリハビリ計画にとても重要です。
今回は脳血管障害の治療方法を投薬治療と外科的治療に分けてまとめてみました。

脳血管障害は基本的にり患した直後には外科的治療が行われ、慢性的な後遺症や再発防止のための投薬治療が行われるます。
それぞれ治療法のメリットやデメリットなどの特徴や体への影響を確認して利用者のリハビリ計画に生かしてください。

投薬治療

抗凝固剤治療

抗凝固剤は血液の凝固因子の量を減らすことによって血液をサラサラにする薬で血栓を作りにくくします。
主に心筋梗塞の治療で使用されますが、心房細動の予防にもなるため脳血管障害の治療薬としても使用されます。

心房細動とは不整脈の一種で心房が不規則に震えるようになってしまう疾患です。その震えによって心臓は正しく血液を排出することができず血栓を作る原因となってしまいます。
また、心房細動によってできた小さな血栓が脳に流れ着いて血管を詰まらせる脳梗塞のことを心原性脳塞栓症といいます。

抗血小板薬

抗血小板薬も抗凝固剤と同様に血液をサラサラにする治療薬です。抗凝固剤が凝固因子の働きを抑える方法ですが、抗血小板薬は血小板の動きを抑える効果があります。

血小板は出血時に傷口を塞ぐ役目があるように、集合すると血を固める効果があります。

t-PA

t-PA(アルテプラーゼ)は閉塞した血栓を溶かすことのできる脳梗塞の治療薬です。閉塞した血栓を溶かすことによって、血流を再開させることが可能になります。

脳梗塞が

tPAによる治療は発症から短時間の間に行われると大きな効果を生み出し、国立循環器病センターの実績では50%以上のケースで明らかな改善がみられており、半数の方が日常生活に支障のない生活ができるようになったとのことです。

日本では2005年から認可され脳梗塞の投薬治療の基準となっています。

t-PA静注療法の特徴

  • 発症から4.5時間内
  • 脳梗塞の症状が軽度から中度
  • 脳出血などの合併症の可能性がある

脳出血における外科的治療

脳出血は血の塊が脳を圧迫することによって致命的なダメージを与えてしまうため、治療はまずはその血を取り除くことから始めます。

開頭血種除去手術

開頭手術は重症な脳出血を起こしている患者に施術されることがあります。
出血が大量になると頭蓋骨の内側であふれ出しますが外に出ることができず、血の塊を作って脳を圧迫してしまいます。
これが脳にダメージを与えることで致命傷を負ってしまいます。

開腹手術は頭蓋骨の一部をいったん外し冷凍保存しておきます。手術の際には皮膚のみを縫合して後日、頭蓋骨を元に戻します。

この手術は救命を目的をする手術で、成功したからと言って症状の改善を求められるものではありません。
また、一度ダメージを受けた脳を回復させるための手術ではないので、昏睡状態の患者には施術できません。

定位血種除去手術(内視鏡)

定位血種除去手術も脳出血の患者に施される手術の一種です。
頭蓋骨に小さな穴をあけ、その中に細い吸引管を通すことで出血を吸い出します。
開頭手術と比べて出血量が少なかったりする症状の軽い方に使用されます。
手術は30分程度で終わります。
この手術は血種となる前の出血を吸い出すだけですので、止血を行うものではないため、別で縫合が必要になります。

また、近年では内視鏡を使った血種除去手術も行われています。

くも膜下出血における外科的治療

くも膜下出血の原因はほとんど動脈瘤が破裂することによって発症します。
くも膜下出血の治療において重要なのが、脳動脈瘤から再び出血が起こらないように防止することです。

そのための手術として下記の2つが行われます。

脳動脈瘤クリッピング手術

くも膜下出血に施術される開頭手術の一つです。
その動脈瘤が破裂する前に根元からクリップのようなもので挟み込み、血が動脈瘤に行くのを防ぐことによって破裂することを防ぎます。

脳動脈瘤コイル塞栓術

足の付け根の動脈からカテーテルを血管に流し込んで、脳動脈瘤まで到達させます。
脳動脈瘤内にカテーテルを充満させて、血液を行きにくくすることによって動脈瘤を死滅させます。

脳梗塞における外科的治療

脳梗塞における外科的治療は詰まって細くなってしまった血管をどのようにして広げるか、またはほかの通り道を作るかによって分けられます。

頸動脈内膜剥離術(CEA)

頸動脈狭窄症が原因で起こる脳梗塞に対して施術される手術です。
頸動脈の狭窄部の厚くなった内膜を取り除き、血管を太くすることで脳への血流を確保します。

頸動脈ステント留置術

頸動脈ステント留置術はカテーテルを使った外科的治療です。こちらも頸動脈狭窄症が原因で起こる脳梗塞に使用されます。
足の付け根からバルーンカテーテルを通して、患部で風船を広げて血管を太くします。

カテーテルを通す際に血栓を流してしますことがあり、別の脳梗塞の危険性があります。
ただ、現在では先にフィルターを用意し、血栓を取り除くなどの技術が進歩しています。

脳血管バイパス手術

バイパス手術は詰まってしまった血管やつまりかけている血管の代わりに別の血管を使って代わりの血の流れる道を作る手術です。
代わりの血管としては切開線や浅側頭動脈が用いられます。

血管のつなぎ方によっては結局詰まってしまったり、流れが強くなりすぎて脳出血を起こすなどの危険性があります。

 

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