私たちは体を動かすとき、実際は脳で受けた情報をもとにどの筋肉をどのくらい動かすかを命令に変え、その命令を神経を通して筋肉に伝えることで運動を起こしているのですが、実際そのような手順を意識しながら運動を行っている人はいないでしょう。
人間は自然と体の動かし方を覚えており、即座に体を動かすことで危険を回避したり、獲物を獲得できるように構成されていますので、改めて運動の仕組みについて知る必要はないかもしれません。
しかし、自然にできていた運動ですが、脳梗塞の後遺症などの影響でそのシステムに少しでも亀裂が入ってしまうと途端に体を自由に動かせなくなってしまうのです。
ここでは人体の運動における仕組みについて簡単に勉強し、利用者の疾患がどの機関にどのように悪影響を与えているかを知るための基礎知識についてまとめてみたいと思います。
目次
運動の基本的な仕組み
人間が動くことができるのはとても複雑なシステムの上に成り立っています。
これを細かくひも解くのは医療の役目ですから、ここでは介護職員が知っておくべきレベルで運動のシステムを見ていきます。
運動の仕組みを簡単に表すと下記のような構造になります。
- 脳:命令を出す
- 神経:命令を伝える
- 筋肉:命令を受けて縮んだり、緩めたりする
- 骨(関節):筋肉の支点となり複雑な動きを可能にする
これらの機関の働きを簡単に見て聞きます。
脳
脳は外部からの入力を受けて外部への出力に変えますが、運動においては大脳皮質(入力)→大脳基底核(入出力)→運動野(出力)といった形で運動命令として神経へ伝達されます。
大脳基底核
大脳基底核は大脳半球の基底部にあり、姿勢保持や随意運動、運動の学習後の自動的な実行に作用しています。
大脳基底核の機能は入力部、出力部、介在部に分けられ、脳の他の領域からの情報を入力部で受け、介在部を通して出力部から一次運動野へと運動の命令を出しています。
一次運動野
一次運動野は大脳皮質の中央部にある中心構に位置し、運動を行う準備を行う領域です。
大脳基底核からの入力や感覚情報に基づく運動の最適化に関わっています。
皮質の各領域に対応する体の部位があり、そこに刺激が加わることで部位の筋肉への命令が行われている。
運動前野
運動前野が
補足運動野
補足運動野は運動するにあたって自発的な運動の開始を補助しています。例えば鍵を開けてからドアを開けるなどの順序のある行動をとる場合、補足運動野が外からの情報を整理して一次運動野に命令を出させるといった具合です。
補足運動野が損傷すると2つ以上の異なった動きがとても苦手になります。
神経
神経は脳と脊髄からなる中枢神経とそれ以下の末梢神経で構成されています。
脳から発せられた運動の命令を末端の筋肉まで伝えます。
運動ニューロン
骨格筋を動かすための神経細胞のことで、運動野から脊髄全角までを上位運動ニューロン、脊髄全角から筋繊維までを下位運動ニューロンといいます。
運動ニューロンの疾患のうち上下ともに異常をきたしているのが筋萎縮性側索硬化症(ALS)、上位のみの異常の場合原発性側索硬化症、上位のみの異常の場合脊髄性筋萎縮症といいます。
錘体路
運動野から起こり脊髄の運動神経に投射する神経線維束のことで脳からの命令を筋肉に伝えるための神経です。
脊髄の錐体交差を通るためこの名前になりました。また、錐体路は脊髄で左右が入れ替わっています。
その後脊髄から左右に伸びている脊髄前角から身体の様々な骨格筋へと広がって命令を伝えます。
筋肉と骨(関節)
人間を動かすことができるのは筋肉を収縮させることだけです。
この収縮を使って人間は様々な動きを同時並行的に行うことを可能にしているのが骨と関節です。
骨とその接合部である関節がうまく組み合わされることによって人間は無県の動きを可能にしています。
人間の体を動かすために存在する筋肉の数は500個、骨の数は200個、関節は250以上といわれています。
骨格筋
筋繊維が束となって骨格筋を構成しています。筋繊維内には多数の筋原線維が通っています。
さらに筋原線維はミオシンフィラメントとアクチンフィラメントと言う筋フィラメントからできており、ミオシンフィラメントの間をアクチンフィラメントが滑り込みことで筋収縮が行われます。
骨格筋は2つの骨に起始と停止と呼ばれる位置に吸着し、骨を引き合わせることで運動をおこします。
骨格筋の赤く膨らんだ部分を筋復、左右の細い部分を筋と呼びます。
骨
骨は関節面と除いて骨膜に包まれており、骨膜には神経や血管が通っています。
骨の外側は固い緻密骨で覆われ中は柔らかい海綿骨で埋められています。
関節
関節は骨と骨の結合部のことで下記のように、その結合の仕方によって様々な動きを可能にしています。
関節を軸に筋肉が両方の骨を引き合わせることによって、様々な動きを可能にしています。

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