今回は介護職員が知っておくべき疾患シリーズの第一弾、パーキンソン病についてです。
デイサービスに勤めているのであれば大半の方がパーキンソン病にり患されている方の介助を行ったことがあるのではないでしょうか。
私も介護に携わる前からマイケル・J・フォックスやモハメド・アリがパーキンソン病を公表していたことでその名前は知っていました。
私が介護職を始めてからすぐにパーキンソン病の方を介助する機会ができました。
そのころの私には病気の知識もなく高齢化による廃用性症候群を起こしているのかなと思ってい、リハビリを進めたりしていました。
それをベテランの介護職員に注意されたことで、様々な病気について勉強を始めるきっかけとなったので、その方のことは強く印象に残っています。
2回に分けて、パーキンソン病についてまとめていきます。
パーキンソン病の基礎知識
パーキンソン病は中脳の黒質という部分にあるドパミン神経細胞が少なくなり、ドーパミンがうまく生成できなくなることで発症します。
このドーパミンは脳から筋肉へ命令を送る際に使われており、パーキンソン病の方はうまく体を動かすことができなくなります。
神経細胞が減少してしまう原因ははっきりとわかっていませんが、患者の脳内にはレビー小体(たんぱく資質の塊)が多く見られることがわかっています。
このレビー小体は認知症の原因となっているなど神経細胞に悪影響を与えることがわかっています。
患者数は10万人当たり、100人~150人程度で高齢になるほど罹患率が上がります。
また、男性よりも女性のほうが多いとされており、遺伝性は5~10%といわれています。
パーキンソン病の症状
パーキンソン病の症状は徐々に進んでいく病気です。
その症状は大きく運動症状と非運動症状に分けられます。
2000年代までパーキンソン病はその運動症状のみが注目され、研究がなされてきましたが近年ではその非運動症状に対するケアも生活の質を保持するために必要だということがわかってきました。
パーキンソン病の運動症状
- 静止時振戦 : じっとしていると震えが起こる。
- 無動 : 足が出にくい、言葉が出にくいなど。
- 筋固縮 : 顔、方、膝など筋肉が硬くなる。
- 姿勢反射障害: 歩いていて止まれない、方向転換ができない。
パーキンソン病の方が立位時に首が垂れ下がり、体幹が前屈している状態をご覧になったことがあると思います。
何かをとろうとすると手が震え、動かそうとしてもなかなか動かずもどかしい時間が流れるというのもよくある光景です。
これら運動症状は片方に発症することが多いですが、徐々に両方に見られるようになります。
パーキンソン病の非運動障害
- 自律神障害: 低血圧や便秘、排尿障害など
- 認知障害 : 遂行機能障害など認知症症状
- 睡眠障害 : 不眠や日中の眠気
- 嗅覚異常 : においを感じれなくなる
- 精神症状 : うつや幻覚など、気力の低下も
パーキンソン病の非運動症状で最も頻度の高いのが自律神経障害の便秘です。
内臓の調整や消化管の活性化を行う神経が侵されていることによると考えられています。
この便秘や嗅覚障害、レム睡眠行動異常症などがパーキンソン病の先行症状として早期発見につながるのではないかと注目されています。
また、認知症を併発されるケースが多く、うつ症状などもよく見られるケースです。
パーキンソン病の重症度分類
パーキンソン病はホーン・ヤールの重症度分類が用いられることがあります。
I度 | 障害は身体の片側のみ |
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II度 | 障害が身体の両側にみられ、日常生活は可能 |
III度 | 明らかな歩行障害が現れ、バランスを崩し転倒しやすくなる |
IV度 | 日常生活の動作が自力では困難で、その多くに介助が必要 |
V度 | 車椅子またはベッド上で寝たきりで、日常生活で介助が必要 |
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