今回取り上げる口腔機能向上加算に関しても新店舗である『別邸はつね西新井』で初めて挑戦する加算です。
今回は私自身の学んだ知識のまとめとがてら一緒に口腔機能向上加算について学んで行きましょう。
目次
口腔機能向上加算とは
口腔機能向上加算は、デイサービスで認められる加算の一つです。
高齢者は口腔内にたくさんの問題を抱え、それが健康や楽しみに大きな影響を与えています。
それらを複合的に解決するためにデイサービスがケアを行います。
特別に加算を設けていることからも厚生労働省が高齢者のQOLにおいて重要な位置づけを行っていることがわかります。
口腔内の問題
- 嚥下機能(咀嚼して飲み込むまでの力)の低下
- 発声の力の低下
- 自浄作用(唾液の量、舌の動き)の低下
- 免疫の低下(虫歯になりやすい)
- 味覚の低下
要介護者のほぼ全ての方が上記の何らかの問題を抱えていると言えます。
これをデイサービスで解決してくために生まれたのがこの口腔機能向上加算なのです。
加算の単位について
口腔機能向上加算は150単位/1回です。
ただ、口腔ケア加算は月の取得制限回数があります。
要介護者は月2回まで、要支援者は月1回までになります。
つまり最大で利用登録者のうち要介護者×300単位、要支援者×150単位となり、かなり大きな金額になります。
デイサービスとしては積極的に取得するべき加算と言えます。
算定要件
人員基準
次にある有資格者を1名以上配置すること
また資格者は事業所が直接雇用していること(派遣は不可)
- 言語聴覚士
- 歯科衛生士
- 看護職員(准看護師でも可)
算定可能な利用者
ケアマネや主治医によって口腔ケアの必要性が確認され、ケアプラン上に口腔ケアの必要性の明記が必要です。
口腔ケアの必要な方として下記のような基準が示されています。
これに当てはまる利用者であればこちらからケアマネにプランに入れてもらうように依頼ができます。
- 認定調査票の「嚥下」「食事摂取」「口腔清潔」について見守りや介助が必要な方
- 口腔機能が低下または低下するおそれがある
- 基本チェックリストのうち2項目以上に該当する
・固いものが食べにくくなりましたか?
・お茶や汁物等でむせることがありますか?
・口の渇きが気になりますか?
※注意
医療保険を使って口腔ケアを続けている利用者に関しては重複してしまいますので、医療保険が優先されるので注意しましょう
算定不可要件『医療保険において摂食機能療法を算定している場合』
算定の手順
- 利用者ごとの口腔機能を利用開始時に把握すること
- 資格者中心に『口腔機能改善管理指導計画』を策定
- 利用者または家族に説明し同意を得ること
- 計画された口腔機能向上サービスを実施
- 3ヶ月ごとに評価を行い、ケアマネや主治医に提供する
口腔機能改善管理指導計画書
口腔機能改善管理指導計画は独立した書類である必要はありません。通所介護計画書や機能訓練計画書に相当する部分があれば問題ありません。
厚生労働省がアセスメントから実施記録、評価までの載った様式例を出しています。こちらを基準に資格者と介護職員で計画を作成していきます。
厚生労働省の様式例
アセスメント
口腔機能にどのような問題があるのかを把握するための調査を行います。
問題の一般化
各々の問題を一般化することでどのようなケアサービスが必要化を結論づけます。
問題点の例
- 噛む力
- 飲み込む力
- 口の乾き
- 歯磨きの能力
- 食べこぼし
- ムセ
- 会話
目標課題
アセスメントと利用者や家族の希望を踏まえた上で解決すべき課題や目標を設定していきます。
目標例
- 自身で口腔清掃を行う(清潔を保つ)
- 義歯の清潔を保つ
- 炎症を治す(出血の低下)
- 硬いものを噛めるようになる
- 自身の名前をきれいに発生できるようになる
などなど
実施計画
上記の問題点を改善するために行うサービスを決めていきます。
誰がどのようなサービスを行うかを記載します。
厚生労働省の例では自宅で行えるケアについても指導するようになっています。
具体的な実施するサービスについては後ほど記載していきます。
実施記録
いつ誰がどのようなサービスを行ったかを記録していきます。
実施記録の記載が職員の負担にならないように効率的な記録方法が必要です。
評価
また、利用者およびご家族がわかるように説明を行う必要があります。
機能訓練計画書と一緒に説明を行うことで手間を省くことができます。
具体的なサービスの内容
さて、デイサービスでできる具体的口腔ケアサービスについてまとめます。
清潔
- 実際の清掃(一人ひとりやっていくと時間がかかり過ぎる可能性あり)
- 歯ブラシやその他器具の使い方講座
嚥下能力の維持
- 嚥下体操
- マッサージ・ストレッチ
発声の力の低下
- 発声体操
- 発声練習(早口など)
炎症の防止
- 病気知識の啓蒙
- 栄養指導
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