機能訓練計画を作る時、歩けるようになって買い物に行きたい。自分でお手洗いに行きたい。など、ご利用者様の目標に歩行が関わってくるものが非常に多いです。
麻痺がある。足腰が痛い。すぐに息が切れてしまう。杖のつき方がわからない。などなどの困難がありうまく歩行ができないことがあります。
もちろん歩行は全ての日常生活につながる重要な動きであるのは間違いありません。
健常者であれば当たり前のように行っている歩行ですが、実はとても複雑なメカニズムによって効率的に行われているのです。
複雑なメカニズムのうち一つでも欠陥があると途端に効率的に歩行ができなくなります。
このメカニズムを理解すると、麻痺や筋力が低下どのメカニズムに影響を与えているのかを理解できれば、訓練の方法や歩行補助具の利用のための助言がうまくできるのではないかと思います。
歩行は下記の6つの部分に分けて考えられます。
各段階での動作を知ることでご利用者様の歩行のバランスの悪さがどこから来ているのか分析してください。
下記では使われる筋肉について記述していますので、並行して見ながら役立ててください。
イニシャルコンタクト(IC)
足の裏が地面に設置する瞬間です。正常であれば踵から地面につきつま先が地面についていきます。
ここで前脛骨筋が弱いとつま先が勢い良くつきすぎてバタンと音を鳴らしてしまいます。
ローディングレスポンス(LR)
踵から接地し、体重が足の裏全面に移行していく流れです。
体重を吸収するために膝が軽く曲がって行きます。
踵からつくことができなかったり、踵から爪先にかけての地面への接地がスムーズにできないとスムーズな歩行につながりません。
また、膝がうまく曲がらないと力を吸収できずに突っ伏してしまいます。
ミッドスタンス(MS)
骨盤が前足の真上に来た状態です。片足立ちしていることになります。
全体重が片足に乗った状態を保つために、中殿筋(お尻の筋肉)の筋力が必要となります。中殿筋の筋力が足りないと上体が左右にバランスを崩しやすくなります。
ターミナルスタンス(TS)
支点となっている足を逆の足が追い越して行き、支点の足が股関節の後ろに来ている状態です。
股関節を伸ばして足を後ろに伸ばすためハムストリング(腿の裏側の筋肉)や股関節の可動域、ふくらはぎの筋力が必要になります。
TSがうまく出ないと、歩幅が小さくなり歩行が遅くなったり疲れやすくなります。
スウィング(SW)
支点と逆側の足が地面から離れて前に運ばれる時間のことです。
TSでしっかり股関節の後ろ側に足を持ってこなければ勢い良くスウィングすることができません。
足を前に出す際に地面と足裏には1cmのクリアランスが必要になります。膝の関節が屈曲できないと足を引きずってしまい転倒の原因となります。
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